1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウスT細胞が認識するトキソプラズマの系統特異的およびステージ特異的抗原の検討
Project/Area Number |
07670282
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Research Institution | Nagasaki University School of Medicine |
Principal Investigator |
山下 慶三 長崎大学, 医学部, 助手 (00239964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 明彦 千葉大学, 医学部, 教授 (20135122)
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Keywords | トキソプラスマ / マウス / 予防免疫 / 系統特異的抗原 / ステージ特異的抗原 / CD8陽性T細胞 / 活性化マクロファージ |
Research Abstract |
放射線照射処理RH株で感作されたマウスにおいてRH株とは異系統の深谷株による慢性感染が成立した理由をトキソプラスマの系統の違いによる抗原性の差異、あるいはtachyzoiteとbradyzoiteとの間の分化ステージの差に基ずく抗原性の差異を免疫によって誘導されるT細胞が認識できなかったからではないかと想定したが、これまでのin vivo実験からはこれらの仮説を支持するような結果は得られなかった。そこでトキソプラスマ特異的CD8陽性T細胞がトキソプラスマ感染細胞を認識する際の細胞内トキソプラスマの転帰を調べる目的で以下の実験を行った。放射線照射処理RH株で感作したマウスの所属リンパ節リンパ節細胞をRH株で感染した同系統の腫瘍細胞にてin vitroで刺激し、トキソプラスマ感染細胞特異的CD8陽性T細胞を樹立した。これらの細胞は自己MHC拘束性にトキソプラスマ感染細胞に対して細胞傷害性を示した。CD8陽性細胞との共培養後24時間後の標的細胞内のトキソプラスマ原虫数をトキソプラスマ由来SAG1遺伝子数のPCR法を用いた定量により算定したところ、感染標的細胞の約80%が破壊されているにも関わらずトキソプラスマ原虫数の減少は認められなかった。ところが、CD8陽性細胞との共培養をIFN-γで刺激した骨髄由来マクロファージの存在下で行うと標的細胞内のトキソプラスマ原虫数は培養前の10%に減少した。しかし、IFN-γで刺激した骨髄由来マクロファージにトキソプラスマを感染させたのではトキソプラスマの増殖は抑制されるものの感染直後のトキソプラスマ数より減少することはなかった。以上の結果より、感染細胞内のトキソプラスマは細胞傷害性T細胞によってホスト細胞が破壊後されても死なないが、その大部分が活性化マクロファージによって死滅することが示唆された。現在破壊されたホスト細胞内トキソプラスマが活性化マクロファージ内で死滅する機構についての解析を進めている。
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