1995 Fiscal Year Annual Research Report
AP-PCRを用いたDNAフィンガープリント法によるトリパノソーマ原虫株の分類
Project/Area Number |
07670286
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三森 龍之 熊本大学, 医学部, 助教授 (00117384)
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Keywords | AP-PCR / DNAフィンガープリント法 / トリパノソーマ原虫 / シャーガス病 |
Research Abstract |
シャーガス病は、中南米に広く流行しその病型も様々である。本疾病の病原体であるトリパノソーマ原虫は、これまでアイソエンザイムやモノクロナル抗体などを使って分類されてきたが、今回、Arbitrarily primed polymerase chain reaction(AP-PCR)によるDNAフィンガープリント法による分類法を試みた。用いたトリパノソーマ原虫株は、中南米各地のTrypanosona cruziおよびT.rangeliのリファレンス株と、パラグアイの人および媒介昆虫であるサシガメから分離された株である。これらの株のエピマステゴ-ト型原虫をシュナイダー培地にて培養し、SEバッファーを加え、プロテナーゼKとザルコシールで処理した後、超遠心機でキネトプラスト(k)DNAと核(n)DNAに分離した。これらを精製しAP-PCRのテンプレートとした。AP-PCRのプログラムはアニーリング温度を最初10cycleを37℃で次の30cycleを60℃でセットした。プライマーは検討した結果、21merのLS-3が、差をみるのに最適なDNAフィンガープリントのバンドパターンを出現させることができた。同一株においてkDNAとnDNAによる差はあまりはっきりしなかった。これは少しでもテンプレートが存在するとPCRで増幅されてしまうため、遠心法で完全にDNAを分けることは不可能であると考えられる。逆にAP-PCR法の場合、kDNAとnDNAを分ける必要もないと思われた。株間の違いは、T.rangeliが著しく異なっていた。リファレンス株はそれぞれ特有なバンドパターンを示したが、Sao FelipeとY strainがよく類似した。また、パラグアイ2株がTulahuen株と、別の2株がBerenice株と類似した。これらの結果は、kDNAの制限酵素切断パターンの結果(Mimori et al,1992)と同様のパターンを示しておりこの方法も分類同定に利用できるものである。現在、これらのDNAバンドのなかから特異なものを選び出しそのDNAを解析中である。
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