1995 Fiscal Year Annual Research Report
単クローン抗体を用いた住血吸虫の各発育期特異抗原の解析
Project/Area Number |
07670289
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
松田 肇 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30114648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐木 雅史 獨協医科大学, 医学部, 助手 (50265302)
千種 雄一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (20171936)
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Keywords | 住血吸虫 / 日本住血吸虫 / 単クローン抗体 / 特異抗原 / 種特異性 |
Research Abstract |
日本住血吸虫卵の種特異性を検討するために、COP反応を惹起させるモノクローナル抗体(MoAb)を作製し、関連抗原の同定、およびその性状解析を行った。(1)日本住血吸虫(Sj)感染マウスの脾細胞より、設備備品機器(炭酸ガス培養装置)を用いて4種のMoAbを樹立した。そのうち、18-4-1および48-39-2抗体は住血吸虫卵に特異的で、とりわけ18-4-1はSj虫卵にのみ反応する極めて特異性の高いMoAbであることが明らかとなり、COP反応惹起関連抗原の解析に有用であることが示唆された。(2) Immunoblottingにより、18-4-1および48-39-2抗体の標的抗原を同定したところ、18-4-1抗体はSj虫卵抗原の分子量330KDaおよび360KDaの部位のみを認識し、48-39-2抗体はSj虫卵抗原の分子量58-265KDaの拡散性を示す領域を認識した。前者により認識される抗原はRCA120およびPNAと結合し、従来の報告とは異なる抗体であった。(3)免疫組織染色の結果から、18-4-1および48-39-2抗体によって認識される抗原は組織内虫卵のミラシジウム、卵殻とミラシジウムの間の領域、および卵膜に存在することが明らかとなった。今回、MoAbによって同定されたCOP反応惹起関連抗原は、その分子量、生化学的性状が従来の報告と異なることから、本研究において新たに同定された抗原であり、特に18-4-1は、二次元電気泳動上からも日本住血吸虫卵に特異的であった。(4) MoAb1-7Bは、患者血清中の循環抗原を認識する抗体でSj成虫の2次元電気泳動パターン上、等電点4以下、分子量100KDaを中心とする縦長のスポットを認識した。このスポットは、Sj虫卵とマンソン住血吸虫(Sm)成虫および虫卵の2次元パターン上には見られず、Sj成虫に特異的な抗原であることが明らかになった。本抗体の認識する標的抗原は免疫組織化学的並びに免疫電顕的に成虫の腸管に局在することを認識した。このように、初年度においてSj虫卵と成虫抗原にそれぞれ特異的に反応するMoAbが樹立されたので、次年度では更に他の発育期虫体に関しても検討する。
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[Publications] 辻守康他: "1994年度の教室における血清反応成績" Clinical Parasitology. 6. 21-22 (1995)
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[Publications] 横井一他: "虫卵抗原に対する日本住血吸虫感染マウスIgMおよびIgGサブクラス抗体のImmunoblottingによる反応性" 寄生虫学雑誌. 44. 551 (1995)
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[Publications] 胡敏他: "急性及び慢性日本住血吸虫症におけるクラス別、及びサブクラス別特異抗体のELISAによる検出" 寄生虫学雑誌. 44. 512 (1995)
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[Publications] 松田肇他: "フィリピン・ミンドロ島の日本住血吸虫症に関する研究(2)流行地学童の濾紙採血による血清疫学調査の意義" 寄生虫学雑誌. 44. 513 (1995)