1995 Fiscal Year Annual Research Report
アジア型コレラ菌のL-Fucose感受性外膜蛋白の精製と定着因子の解明
Project/Area Number |
07670319
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
仲宗根 昇 琉球大学, 医学部, 助手 (80175497)
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Keywords | Fucose感受性 / 菌体結合 / 赤血球凝集素 / アジア型コレラ菌 |
Research Abstract |
アジア型コレラ菌86B3株を用い、定着因子としての可能性の高い、菌体に結合したL-Fucose感受性の赤血球凝集素(HA)の精製を試みたところ、以下の結果を得た。 1.培養条件:種々の培地を用い、安定した血球凝集活性(HA)を示す培養条件を検討した結果、ハートインフュージョン液体培地で、37C、12-15時間、静置培養する方法が最も良い結果を示した。 2.HAの抽出方法:ア)菌体から直接行う方法:各種のキレート剤、界面活性剤、有機溶媒、酸、アルカリ、Chaotropic anion、変性剤を検討したところ、EDTAにおいて良い結果を得た。しかし、EDTAの場合、fucose感受性が消失していた。イ)外膜を調整した後、抽出する方法;外膜はX-press法、Sucrose-lysozyme法、尿素法で調整した。X-pressではHA活性が消失し、Sucrose-lysozyme法、尿素法では安定した結果を示した。 3.外膜試料からのHAの抽出:外膜蛋白は日本分光光度計V-530で測定した。界面活性剤であるOctylthioglucosideが穏和な可溶化作用を示した。しかし、処理後の上清、沈査にHAを認めなかった。 4.アフイニテイーカラム:界面活性剤処理後の上清を透析し、fucoseでリガンドしたカラムにかけた。カラムを充分洗浄後、pH3のグリシンbufferとpH11のbufferで溶出させた。溶出成分は日本分光光度計V-530でモニターした。pH3の溶出で小さなピーク、pH11で大きなピークが現われた。これらのピークを濃縮し、SDS-PAGEにかけたところ、4-5本のバンドが現われた。しかし、これらの成分にHA活性はなかった。 以上の結果から、アジア型コレラ菌86B3株のもつfucose感受性HAは外膜成分に存在するものと思われるが、幾つかの成分から成るものではないかと考えられた。類似した報告はAeromonasの菌体結合HAにおいても報告されている。今後、遺伝子レベルからの探究が必要であろうと思われた。
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