1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670339
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
榎並 正芳 金沢大学, 医学部, 助教授 (30168794)
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Keywords | インフルエンザウイルス / ウイルス集合 / ウイルス粒子形成 / マトリクス蛋白質 / ヘマグルチニン / ノイラミニダーゼ / 組換え体ウイルス / 逆遺伝学 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの遺伝子はマイナス鎖RNAと3種類のウイルスポリメラーゼ蛋白質、NP蛋白質が結合したRNP構造を形成し、感染細胞の核内で複製する。感染後期にRNPは細胞質へ移行し、ウイルス構造蛋白質と共に細胞表面で集合しウイルス粒子に取り込まれる。本研究では、ウイルスの粒子形成機構(ウイルス集合機構)を解明する事を目的とする。 本年度は、これまでの研究から明らかにされた、ウイルス集合過程のキ-蛋白質であるマトリクス(M1)蛋白質のウイルス感染細胞内での挙動に焦点を絞り解析を行った。ウイルス感染細胞を蛋白標識後、破砕し、核除去画分から細胞膜画分と遊離蛋白質をショ糖密度勾配遠心で分画した。ウイルス感染中期に合成されたM1蛋白質の多くはウイルス集合が起きる感染後期に細胞膜画分に集合した。M1蛋白質に温度感受性変異を持つts-51ウイルス感染細胞ではM1蛋白質の細胞膜への集合は見られなかった。次に、ウイルス膜蛋白質HA及びNAとM1蛋白質を個々に組換え体ワクチニアウイルスを用いて発現したところ、M1蛋白質単独では細胞膜との強い結合は見られなかった(20〜40%)が、HA及びNA蛋白質、特にNA蛋白質がM1蛋白質の細胞膜への結合を強く促進した(>90%)。そこで、cDNA上でNA蛋白質細胞質領域に変異を導入し、変異NA蛋白質の機能を解析した。変異の導入はM1蛋白質の膜結合促進活性を失わせた。RNPトランスフェクション法により作製した変異NA蛋白質を持つ組換え体インフルエンザウイルスはウイルス集合が不完全なウイルスである事が確認された。しかし一方で変異ウイルスの欠損の程度は弱く正常なHA蛋白質単独である程度のウイルス集合が可能なことも確認された。今後は、HAとNAの二重変異体の作成に興味が持たれる。また、一方でM1蛋白質変異体の解析の重要性も増した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.A.Sato: "Isolation of the Measles Virus Hemagglutinin Protein in a Soluble Form by Protease Digestion" Journal of Virology. 69. 513-516 (1995)
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[Publications] 榎並正芳: "ネガティヴ鎖RNAウイルスの遺伝子操作-最近の展開-" ウイルス. 45. 145-157 (1995)
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[Publications] 榎並正芳: "ウイルス実験プロトコール,永井美之・石浜明監修,小林信之・永田恭介編集" メジカルビュー社, 360 (1995)