1995 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスが老化に及ぼす影響について-老化促進モデルマウスを用いた研究-
Project/Area Number |
07670415
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
八木 典子 甲子園大学, 栄養学部, 助教授 (00140385)
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Keywords | 強制運動 / ストレス / 老化 |
Research Abstract |
近年、ストレス社会といわれるほど、我々の周りには数多くのストレスが存在する。ストレスは、いろいろな形で心身の異常をもたらし、老化にも関係していると考えられる。しかし、ヒトにおける慢性ストレス状態を反映した動物モデルによる研究は極めて少ない。そこで、老化促進モデルマウス(SAMP8)を用い、長時間のストレス負荷が老化に与える影響について検討したので報告する。 【方法】SAMP8を強制運動群と自由行動群に分けた。強制運動群は、ローターロードにて毎日30分または10分間強制的に運動負荷を与えた。飼育期間中強制運動群、自由行動群ともに外観的な老化度の進行の違い並びに日内リズムの変化を検討した。また、生後5ヶ月で受動的回避反応試験を行い学習・記憶の障害程度を判定した。さらに、たんぱく質含有量の異なる飼料にて、上記と同様にマウスを飼育し、飼料の違いによる検討もおこなった。 【結果】強制運動を30分間実施した群では、いずれも自由行動群に比し、老化度や学習・記憶の低下を生じ、特に雄において著しい結果を得た。強制運動10分間実施群では、強制運動群の方が、比較的外観的老化度の進行は遅く、学習・記憶も良好な結果を得た。しかし、雌に比し雄は、やはり、老化度の進行が早く、強制運動負荷の影響が推測された。さらに、たんぱく質の違う飼料を与えた実験では、低たんぱく質飼料は、強制運動によって老化が促進されたが、高たんぱく質飼料で10分程度の適度の運動を行なった場合、老化の進行が抑制される結果を得た。 【まとめ】これらの結果から、強制的に運動を負荷することは、自主的な運動と異なり、マウスにとってストレスとなり得ること、そして、雌より雄の方が特にストレスに対する感受性が強いことが判明した。また、運動負荷により日内リズムの乱れが生じ、多動になることからも、強制運動がマウスにとってストレスとなっていることが推測できた。
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