1996 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスが老化に及ぼす影響について-老化促進モデルマウスを用いた研究-
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07670415
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Research Institution | KOSHIEN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八木 典子 甲子園大学, 栄養学部, 助教授 (00140385)
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Keywords | 拘束ストレス / 老化 / 脂肪肝 |
Research Abstract |
近年、ストレス社会といわれるほど、我々の周りには数多くのストレスが存在する。ストレスは、いろいろな形で心身の異常をもたらし、老化にも関係していると考えられる。しかし、ヒトにおける慢性ストレス状態を反映した動物モデルによる研究は極めて少ない。そこで、今回、老化促進モデルマウス(PAMP8)を用い、長期間のストレス負荷が老化に与える影響について検討したのでその結果を報告する。【方法】生後6週齢のSAMP8をストレス負荷群と非ストレス負荷群に分け、さらにストレス負荷群をストレス負荷時間により30分、60分、90分に分けた。ストレスは、1日1回マウスをフイルムケース内に固定し、一定時間暗所に放置する拘束ストレスを行った。実験開始後、すべてのマウスについて、毎日体重、餌摂取量、一定期間ごとに老化度および1日の運動量を測定した。さらに、実験開始後12週間経過した後、受動的回避反応試験により学習・記憶の判定を行った。【結果】ストレスを加えはじめると、餌の摂取量の減少が認められ、それに伴って、体重増加量も低下した。また、ストレスを加えた直後、体重の一時的な減少が認められたが、負荷を終了すると再び元の体重に回復した。老化度は、ストレスにより著しく悪化したが、ストレス時間の差よりもストレスを負荷するかどうかという点での違いが大きかった。受動的回避反応試験で学習・記憶障害の程度を判定した結果、老化度のような悪化は認められず、むしろ潜時の長い学習・記憶良好群が多くあった。平均潜時については、非ストレス群との違いは認められなかった。1日の総運動量については、ストレス負荷による著しい変化は認められなかった。ストレス負荷実験中に死亡したマウスを解剖した結果、死亡したマウス11例中胃潰瘍9例、脂肪肝が5例認められた。【まとめ】以上の結果より、拘束ストレスにより学習・記憶障害の悪化は認められなかったが、外観的老化は著しく進行するとともに、胃潰瘍および脂質代謝異常が推測できた。
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