1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の口腔乾燥症に関する疫学的調査研究-病理、経過、治療、予後について-
Project/Area Number |
07670421
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 真弥 東北大学, 歯学部, 助手 (90157686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古内 寿 東北大学, 歯学部, 助手 (50209160)
丸茂 町子 東北大学, 歯学部, 講師 (10005027)
三條 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Keywords | 口腔乾燥症 / 老年歯科 / 疫学調査 / Xerostomia |
Research Abstract |
高齢化社会に伴い口腔乾燥感を主訴に歯科を受診する患者は年々増加傾向を示している。しかし、多くの場合その原因は種々の因子が複雑に絡み合い明確でなく、また高齢者の口腔乾燥症に関する疫学的調査研究もないことから、その実態は不明である。そこで我々は口腔乾燥症を客観的かつ適切に診断し、病因に即した治療が行えるよう、その診断と治療体系を確立することを目的とし、高齢者を対象に口腔乾燥症の臨床疫学調査を行った。調査は養護老人ホームと特別養護老人ホームを中心とした4施設で行い、対象は65歳以上の男性31人、女性64人、計95人で、平均年齢は77.9歳であった。 結果は95人中85人(89.5%)が何らかの基礎疾患を持っていた。また、これら疾患の治療に薬を服用している人は78人(82.1%)であった。服用薬の中には降圧剤、利尿剤など副作用として口腔乾燥症を惹起するものも含まれていた。唾液分泌量は、ガムテストで10ml/10min未満の低下を認めた人は43人(45.3%)と半数近くにみられたが、3ml/10min未満と著明な低下を認めた人はわずか3人(3.2%)であった。舌乳頭萎縮は21人(22.1%)、溝状舌は23人(24.2%)にみられ、白板症、カンジダ、口腔扁平苔癬、アフタなどの粘膜疾患は予想と反し、全くみられなかった。さらに、シェ-グレン症候群によくみられる粘膜の乾燥や唾液腺マッサージで唾液の排出が起こりにくいなどの所見も5人(5.3%)と少なかった。 以上より、高齢者の口腔乾燥症は半数近くの人にみられたが、症状に重篤な人は少なく、シェ-グレン症候群とは明らかに病態も異なり、その病因として降圧剤などの薬の影響が充分に考えられると思われた。
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