1995 Fiscal Year Annual Research Report
花粉症発症に関連した危険因子の疫学的・免疫学的解析
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07670429
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
寺西 秀豊 富山医科薬科大学, 医学部・公衆衛生学, 助教授 (40115184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部・公衆衛生学, 助手 (80115162)
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Keywords | スギ / 花粉 / アレルギー / 危険因子 / 疫学 / 免疫 / 栄養 / 大気汚染 |
Research Abstract |
本研究では,富山県内に広く調査地点を設け空中花粉調査を実施し,あわせて地域の病院における患者数とその年次推移について疫学的・統計的解析を行った。また,花粉飛散防止の観点から,スギ雄性不稔個体を見いだし,検討を加えた。更に,昆虫アレルゲン等の職業的暴露歴を有する集団に対して免疫学的研究を行った。得られた結果は,以下のようなものであった。 1.富山県内5地域で6年間の空中花粉調査を実施し,スギ花粉数の年次変動について明らかにした。また,そうした資料をもとに,精度の高い花粉予測方法を開発し,その有効性について検討した。また,スギ雄性不稔個体は,花粉成熟過程の障害により,Cryj Iなどのアレルゲンがきわめて低下していることを見出した。 2.富山県内のK病院における,1965年から1993年までの鼻アレルギー患者の年次変動について検討した結果,栄養調査による動物性脂肪の摂取等との間に統計的な関連性が見い出された。季節性鼻アレルギー(大半がスギ花粉症)の場合は,空中スギ花粉飛散数との間に有意な相関が得られたが,そうした成績は,鼻アレルギー発症に対する環境要因の複合作用の重要性を示す成績と考えられた。 3.都市部における予備的受療率調査により,浮遊粒子状物質(SPM)など大気汚染物質は,鼻アレルギーに対する症状増悪要因として働き,患者増加に寄与している可能性が示された。更に,職業性暴露のある場合は,昆虫(ユスリカ)アレルゲンも時に重要な役割を果たしていることを,イムノブロッティング法およびELISA法など最新の免疫学的手法を用いて証明した。 今後は,自然集団における花粉症有病率を正確に把握し,花粉症発症率の高い集団の特性と危険因子等との関連を詳細に検討したいと考えている。
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[Publications] 劔田幸子: "富山市におけるスギ花粉飛散状況と気象条件との関連" 日本公衛誌. 42. 553-558 (1995)
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[Publications] Miyao,M.: "Possible combined effects of pollen and air pollution on allergic rhinitis" Arch. Complex Environ. Studies. 7. 37-45 (1995)