1996 Fiscal Year Annual Research Report
血清中燐脂質測定によるアトピー性皮膚疾患の予知と予防の試み
Project/Area Number |
07670432
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Research Institution | NAGANO COLLEGE OF NURSING |
Principal Investigator |
那須 裕 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (50020839)
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Keywords | アトピー性皮膚疾患 / 多価不飽和脂肪酸 / 燐脂質 / ガンマーリノレン酸 / リノール酸 / アラキドン酸 |
Research Abstract |
必須脂肪酸は体内で燐脂質として細胞膜で膜の透過性、流動性に関与していることが知られており、それが各種免疫調節作用、抗炎症作用に関与しているものと思われる。多くの炎症性疾病の発症にはこの必須脂肪酸の代謝機構が正常に作用しているか否かに掛かっている事が考えられる。そこで血清及び単核球中の燐脂質の組成を検査することにより、各種炎症作用を含む疾病への罹り易さを事前に察知し対策を立てる事も可能との仮説の下に、アトピー性皮膚炎患者およびいくつかの慢性炎症性疾患患者の血液より血清と単核球を抽出し、これを用いて燐脂質の分析を行った。 試験管内ならびに実験動物における検討では、ガンマーリノレン酸が免疫調節作用、および抗炎症作用を持つことが明らかにされている。必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)の代謝経路が様々な原因で作動しなくなった時に各種炎症疾患の発症が起こると思われる。従って、代謝経路の内でブロックされている場所の脂肪酸、すなわちガンマーリノレン酸を補うことにより症状の改善が見られる筈である。そこでアトピー患者にこれを投与して後に血清・単核球中脂肪組成にどのような変化が生じるかを観察した。 (1)リノール酸はコントロールに比べ患者群で高い値が見られた。そして治療後にはこの値の減少も観察された。(2)このリノール酸代謝物の濃度は患者群において低い傾向が見られた。(3)治療後の患者においては20 : 3と20 : 4の双方が非常に上昇していたが、その理由は未だ明らかではない。 従って、血清中脂肪酸測定がアトピー疾患等の予知にある程度の役割を果たすことも可能と考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] D. C. E. Nordstrom, VEAHonkanen, Y. Nasu, E. Antila, C. Friman, Y. T. Konttinen: "Alpha-linolenic acid in the treatment of rheumatoid arthritis, A double-blind, placebo-controlled and randomized study : flaxseed vs, safflower seed" Rheumatol Int. 14. 231-234 (1995)