1995 Fiscal Year Annual Research Report
東海地区居住男性同性愛者集団を対象とした性感染症の継続調査
Project/Area Number |
07670433
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
磯村 思无 名古屋大学, 医学部, 教授 (00064832)
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Keywords | 男性同性愛 / 性感染症 / 梅毒 / クラミジア / 性行動 |
Research Abstract |
平成7年度においては1986年〜94年の間に調査出来た716名(のべ検体数1,177)を対象として梅毒血清反応ならびにCh lamidia trachomatis(以下C.trachomatis)IgG、IgA抗体価を測定し性感染症に関与する性行動の面接調査の結果と比較検討した。ちなみにこの集団におけるHIV抗体陽性者は4名(0.56%)であり、薬剤常用者や外国人と性交渉をもつ例がごく少数であることがこのHIV侵襲度の低いことに関与していると考えられたが下記のように梅毒やC.trachomatisの侵淫は高度でありHIV感染に関するリスクは高く同集団を対象とする性感染症の総合的な追跡調査の必要性の高さが示唆された。 (1)梅毒血清反応を全1,177検体に実施。TPHA抗体陽性率は全体では27.4%で、年次による差はなかった(1986年29%、87年28%、88年28%、89年24%、90年24%、92年28%、93年27%。91年は参加者が少なく集計から除外した)。ガラス板法も年次差はなく陽性率は全体で18.2%であった。調査時の年齢や同性愛経験年数とともに陽性率は上昇し、性行為相手多数例や不特定相手を主体とする例に陽性者が多くTPHA値が高値を示す傾向があり、肛門性交の頻度、性行為の役割(男/女/両性役)やコンドーム使用の有無と陽性率の関連はなかった。 (2)C.trachomatis IgG-IgA(当初IgM抗体測定を予定したが、より正確を期してIgA抗体とした)抗体保有率を592例について実施した。IgG、A共に高値であり同時に近年やや減少傾向が認められた(IgG抗体:全体53%、86年77%、88年70%、89年52%、90年43%、91年53%、92年39%。IgA抗体:全体6%、86年14%、88年7%、89年4%、90年4%、91年4%、92年4%。)。年齢や経験年数による差はほとんどないがコンドーム使用者で相手数が少なく特定の相手をもつ例に減少傾向があった。上記からC.trachomatis感染を中心に性行動に関する行動変容が感染の広がりに影響するのでさらに詳細な継続調査の必要性が示唆され、現在継続中である。
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