1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本型食生活がミネラル栄養に及ぼす影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07670445
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北野 隆雄 熊本大学, 医学部, 助手 (50214804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿差美 章治 聖徳栄養短期大学, 教授
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Keywords | ミネラル栄養 / 日本型食生活 / 腎臓蓄積 / 高たんぱく質食 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
日本の食生活様式が欧米化することにより栄養素の摂取が高タンパク質、高脂肪に移行することが国民栄養調査等により報告されている。また、欧米では乳製品の摂取が高いことから、ミネラル、特にカルシウム摂取については不足の問題は指摘されないが、近年の日本型食生活は、カルシウムの摂取が少ないことも指摘されている。今回、私共はこの点に着目し高タンパク質・高脂肪の摂取がカルシウム利用に及ぼす影響についてラット用いて検討した。 被験動物としてFisher系4周齢の雌ラットを用い、AIN-76精製飼料を基準にし、タンパク質を10%、20%、40%及び脂肪を5%、10%、20%として1群6匹、6群について4週間の飼育実験を行った。動物の飼料摂取は自由摂取とした。最終週4日間の出納実験を行った。 実験終了後に動物を屠殺し、大腿骨、腎臓を摘出し資料とした。 実験結果は、二元配置分析法を用いて検討した。動物の飼料摂取は飼料中のタンパク質量に依存しないが、脂肪量の増加により減少した。体重増加についても同様であった。 カルシウムの利用については、タンパク質の摂取と脂肪の摂取増加によりその利用は低下した。特に、尿中排泄についてはタンパク質摂取の影響がこれまで同様に観察された。 腎臓中のカルシウム含有量についてはタンパク質の摂取と脂肪の摂取増加により増加した。腎臓を病理学的に観察すると、タンパク質摂取の増加と脂肪の摂取増加により遠位尿細管にカルシウムの蓄積が認められたが、糸球体に異常は認められなかった。 以上のようにタンパク質、脂肪の摂取量の増加はミネラルとりわけカルシウムの利用を低下させるだけではなく、腎臓への蓄積が観察された。今回の実験条件に加え、長期間摂取の影響、ミネラル摂取量の増加などの課題を克服しなくてはならないが、ミネラル栄養にタンパク質、脂肪摂取が大きく関与していることが示唆された。
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