じん肺症における肺線維化とサイトカインに関する研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07670460
• Research Institution: Kanazawa Medical University
• Principal Investigator: 田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40188404)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 三浦 克之 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90257452) ; 西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40198461) ; 森河 裕子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20210156) ; 中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
• Keywords: Pulmonary Fibrosis / Interleukin-1 / Interleukin-8 / Tumor Necrosis Factor-α / Transforming Growth Factor-β / Cytokines / Procollagen-III-peptide / Prolyl Hydroxylase

Research Abstract

じん肺症の肺線維化とサイトカインとの関連性をみることを目的に、富山県東部の出稼ぎ粉じん作業者及び石川県内の地域住民の血清を用い、ELISA法を用いて血清中のサイトカイン(IL-1β、IL-8、TNF-α、TGF-β1)を測定した。粉じん作業者の血清中TNF-α、TGF-β1濃度は対照者に比べ有意に高かったが、血清中IL-1β、IL-8濃度に差は認めなかった。粉じん作業者においてじん肺X線病型別に検討すると血清中TNF-α濃度は1〜4型は0型に比べ有意に高く、血清中IL-1β濃度は0〜2型に比し3・4型は有意に高くなっていた。
次に、現在、鋳物製造業等にたずさわっている粉じん作業者で、血清中のサイトカイン及び肺線維化の活動度の指標となると考えられる血清中のプロコラーゲンIIIペプチド(P-III-P)濃度、血清プロリルヒドロキシラーゼ(PH)活性を測定し、その関連について検討した。この集団では、対照者と粉じん作業者の間で血清中のP-III-P濃度や血清PH活性に差は認めず、また、これらと血清中のサイトカイン濃度にも関連性は認めなかった。
胸部X線を指標としたじん肺の重症度と血清中のサイトカイン濃度の間には、これまでの気管支洗浄液中のサイトカイン濃度が上昇するといった報告と同様の結果が得られたが、線維化の活動度を示す血清中のP-III-P濃度や血清PH活性との間には関連性は認めなかった。今後は、動物実験や粉じん作業者の気管支洗浄液でのサイトカインの測定で肺線維化との関連性をみていく必要があると思われる。