1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の地域ケアに関する疫学的研究-老人保健施設退所後の追跡調査-
Project/Area Number |
07670463
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
渡辺 美鈴 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30084924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土手 友太郎 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10257868)
織田 行雄 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80247840)
河野 公一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30111016)
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Keywords | 老人保健施設 / 保護者 / 退所先 / ケースワーカー |
Research Abstract |
新ゴールドプランのもとで、老人保健施設(以下老健施設と呼ぶ)数は年々増加しているが、一方では、入所期間の長期化や家庭復帰が困難となり、家庭以外に退所する例も少なくない。特に大都市近郊では、利用者は入所前は独居世帯や高齢者夫婦世帯が多く、これら利用者の保護者は老健施設からの退所先を病院や他の老健施設に希望する者が多い。さらに老健施設は特別養護老人ホームの入所待機施設になっている場合もある。このような状況は、大都近市郊の老健施設が持っている特性かどうかを明らかにするために、T市にある老健施設について、老健施設入所者の属性、介護者の状況と介護意識、退所時にケースワーカーからみた退所先などを調べ、経時的に生活場所の追跡などを行った。 方法:平成9年9月1日においてT市の3老人保健施設に入所していた老人239人とそも保護者にアンケート調査を行った。調査方法はケースワーカーによる面談調査で行った。 結果:239人の入所者の保護者のうちアンケートの回収率は78%(187人)であった。 1.保護者の介護意識:希望退所先から保護者の介護意識を評価した。保護者の54%は退所先を病院や老人ホーム、他の老健施設などの施設を希望し、他は家庭を希望していた。しかし、家庭への退所で、退所後に新たに同居してもよいと考えているケースは4%程度である。家族との同居を希望している割合は38%で、希望先は家庭であっても入所者は独居生活になる可能性を示唆しており、在宅での介護意識は低いことを示していた。 最適な退所先:2月末時点の退所者120人ついてケースワーカーからみた退所先は家庭46%、老人ホーム41%、病院5.5%、他の老健施設7.5%で、最適な退所先としては家庭が第1であるが、老人ホームも退所も多かった。 現在、退所先に関わる要因分析や退所後の生活場所(調査から6ヶ月時点)について研究を行っている。 これらの結果は、第68回日本衛生学会総会(平成10年3月 岡山)、日本衛生学雑誌53(1):1998、256で発表した。
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