環境発癌物質の曝露-反応関係の解明と発癌リスクの評価を目的とした分子免疫学的研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07670474
• Research Institution: THE INSTITUTE FOR SCIENCE OF LABOUR
• Principal Investigator: 花岡 知之 財団法人労働科学研究所, 労働環境保健研究部, 主任研究員 (00228503)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 原 邦夫 財団法人労働科学研究所, 労働環境保健研究部, 主任研究員 (40250047) ; 市場 正良 佐賀医科大学, 地域保健科学, 助手 (60184628)
• Keywords: 発癌リスク評価 / 量反応関係 / バイオマーカー / 多環芳香族炭化水素 / DNA付加体 / 1-ヒドロキシピレン / オンコプロテイン

Research Abstract

職業的に多環芳香族炭化水素(PAH)の曝露を受けている集団を対象に、内部曝露量の指標として尿中1-ヒドロキシピレン量、生物学的影響量の指標としてPAH-DNA付加体量、影響の指標として前臨床的遺伝子変化である血清オンコプロテイン量等の測定を行い、生物学的影響量とエンドポイントとの量-反応関係を検討し、発癌リスク評価における各バイオマーカーの有効性を考察することを目的とした。
コ-クス炉において各種作業に従事し、3段階(高、中、低)のPAH曝露を受けている作業者各20名(計60名)とPAH曝露のない他の工場の作業者20名に対して質問票調査、作業場所の気中PAH濃度、PAH個人曝露濃度、尿中1-ヒドロキシピレン、PAH-DNA付加体、血清オンコプロテイン、代謝酵素遺伝子多型の測定を行った。
結果として、気中PAH濃度および個人曝露濃度と尿中1-ヒドロキシピレンの間には相関がみられたが、個人曝露濃度とPAH-DNA付加体との間にははっきりした相関はみられなかった。しかし、代謝酵素遺伝子多型別にみると尿中1-ヒドロキシピレンとPAH-DNA付加体との間に関係がみられ、個人差の一部が代謝酵素活性によって説明されることが示唆され。エンドポイントとしての血清オンコプロテインの上昇はほとんど認められなかった。各バイオマーカーの有効性を明らにするために、追跡調査をすすめている。

Research Products

• [Publications] 原邦夫: "バイオマーカーを用いたコ-クス炉作業者での横断面研究1.-環境および個人曝露と尿中代謝物-" 産業衛生学雑誌. 39(発表予定). (1997)
• [Publications] 市場正良: "バイオマーカーを用いたコ-クス炉作業者での横断面研究2.-DNA付加体-" 産業衛生学雑誌. 39(発表予定). (1997)
• [Publications] 山野優子: "バイオマーカーを用いたコ-クス炉業者での横断面研究3.-血清p53蛋白-" 産業衛生学雑誌. 39(発表予定). (1997)
• [Publications] Hanaoka T.: "Elevated serum levels of pantropic p53 proteins in chromium workers." Scand.J.Work Environ.Health. (印刷中). (1996)
• [Publications] 花岡知之: "癌遺伝子および癌抑制遺伝子産物のバイオマーカーとしての応用・血清p53蛋白の応用例." 労働科学. 73(印刷中). (1997)