1995 Fiscal Year Annual Research Report
凍死の鑑別診断法の確率凍死体血液の線溶系因子の分子レベルにおける解析
Project/Area Number |
07670483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高取 健彦 東京大学, 医学部(医), 教授 (30001928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 正崇 東京大学, 医学部(医), 助教授 (80227991)
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Keywords | 凍死 / FDP / サンドイッチELISA法 |
Research Abstract |
凍死は、特徴的な所見が乏しいため、信頼性の高い診断基準が未だ確立していないのが現状である。そこで検査の容易な血液成分の中に、凍死に特異的な所見が得られれば、極めて有効な診断鑑別法となる。そこで、ラット血液FDP量の死因と死体保存温度の影響をサンドイッチELISA法で定量的に検討することを目的とする。 方法 FDP量の温度による影響を調べるため、ラットをネンブタール麻酔下に、冷凍庫におき凍死、あるいは絞殺し、ラット屠体を0℃、8℃、21℃に保存、その後経時的に全採決し、直ちに血清を分離した。FDP量を、検量線にラット血清Cohn Fraction Iを用いたサンドイッチELISA法で定量した。 FDP量の死因による影響を調べるため、ラットを麻酔死、あるいは麻酔下で凍死あるいは絞殺し、ラット屠体を室温に保存、その後経時的に全採決し、FDP量を定量した。 結果および考察 FDP量の温度による影響は、凍死あるいは絞殺いずれも、24時間後0℃で19μg/ml、60μg/ml、21℃でそれぞれ1100μg/ml、1800μg/mlを示し、低温では低値、高温では高値で、ラット屠体の保存温度により著しく変動した。 FDP量の死因による影響は、24時間後の値で麻酔死で627±258μg/ml、凍死で807±168μg/ml、絞殺1633±493μg/mlを示し、麻酔死と凍死の間には有意差が認められなかったが、絞死と麻酔死および凍死の間には有意差が認められた。 実験の結果から、ラット血清FDP量は、死因の違いにより有意差が認められるものの、死体の保存温度による変動がより顕著であることが示唆され、死因の違いを診断するためには、D-dimer等の定性が必要とおもわれるので解析を進めている。
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