1995 Fiscal Year Annual Research Report
ABO式血液型糖鎖転移酵素遺伝子の法医学的応用と抗原発現の生理学的意義
Project/Area Number |
07670488
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西 克治 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60073681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光子 聖母女学院短期大学, 助教授 (80145911)
山本 好男 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60111902)
大久保 岩男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80152073)
|
Keywords | ABO遺伝子 / 人獣鑑別 / 味蕾細胞 |
Research Abstract |
ABO式血液型及びその関連抗原の臓器・組織での発現を免疫組織学的に検討したところ、ヒト以外の哺乳類は勿論、下等脊椎動物に分類されている魚類やカエルなど消化管においても認められた。抗原発現の場を赤血球、血管内皮細胞、分泌細胞に別けて考察すると脊椎動物進化と抗原発現の場の間には密接関連が認められた。一方で、抗原発現は唾液斑、精液斑、尿斑を用いてABO式血液型判定には人獣鑑別が必須であることを示している。ヒト、日本猿、イヌ、ネコ、ラット、ウサギなど哺乳類の舌味蕾細胞では、個体のABO式血液型に一致した抗原、また、Lewis式血液型抗原がみごとに発現されていた。味蕾細胞は味覚の受容が目的の細胞であることを考えると、ABO式血液型及びその関連抗原が味覚の化学的受容機構に重要な役割を担っていることを示唆する結果と見られる。 ヒト以外の脊椎動物にABO式血液型抗原の発現が見られたところから、ヒトでのABO式血液型抗原糖鎖転移酵素遺伝子判定用プライマーで、日本猿、ブタ、ハムスター、ラット、マストミス、キンギョなどから抽出したDNAを本研究費で購入した機器を使用、PCR増幅すると各動物とも増幅、ハイブリダイズが認められた。生成産物を電気泳動後染色すると、動物種間では相違した、動物種内では同じ泳動パターンが確認された。このことは、斑痕検査のABO式血液型検査においては遺伝子型判定時にも、人獣鑑別が必要であることを示し、一方でランダムPCRの手法を用いて、DNAレベルで人獣鑑別が可能であることを示唆している。また、この方法で得た、日本猿DNAのシークエンスを行うとヒトB型遺伝子と極めて類似していることが示された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 山田光子: "DNA試料を用いての種差識別ABO式血液型関連糖鎖転移酵素遺伝子について" DNA多型. 3. 292-296 (1995)
-
[Publications] Nishi Katsuji: "Histochemical distribution of ABH-related antigens in humans and other mammals" The proceedings of the 5th Indo-Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Science. (in press). (1996)
-
[Publications] Nishi Katsuji: "Recent developement of blood grouping in the forensic field" The proceedings of the 5th Indo-Pacific Congress on Legal Medicine and Forensic Science. (in press). (1996)