1995 Fiscal Year Annual Research Report
SIDSの小脳・脳幹部における病理組織ならびに組織計量的研究
Project/Area Number |
07670504
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 秀明 北里大学, 医学部, 講師 (00050691)
小谷 淳一 北里大学, 医学部, 講師 (30050595)
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
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Keywords | SIDS / 脳幹部 / 小脳 / 顆粒層 / 外顆粒層 / 画像解析 / エオジン好性小顆粒 |
Research Abstract |
SIDSは法医学や小児科だけでなく、社会的にも最重要課題の一つである。私共は乳幼児のような軟らかい脳では、小脳の重さが直接脳幹部にかかる状態(例えば俯せ寝)が継続すると、同部の血流が障害され、神経細胞が何等かの影響が生じるのではないかと考えた。そこで4才以下の乳幼児35例(SIDS9例、その他病死8例、窒息等の外因死18例)の小脳、橋、延髄について3μのHE染色標本を作製して以下の検討を行った。 1.小脳の二次元画像解析について:オリンパス社画像解析装置EMを用い、小脳外顆粒層の厚さと顆粒層1000平方μ当たりの小顆粒細胞(G)数を計測した。外顆粒層の厚さは1才未満の23例でのみ計測可能であった。各死因別の外顆粒層の厚さ(平均)はSIDSが22.9μで、その他の死因群(13.2〜15.6μ)より大きい値を示した。一方、G数(平均)はSIDSが23.4個で、その他の死因群(29.3〜35.2個)より小さい値であった。 2.神経細胞について:神経細胞(小脳はプルキンエ細胞)の退行性変化とメラニン、リポフスチン、脂質、エオジン好性小顆粒(エ顆粒)の有無を検索した。特徴所見としてはSIDS2例の橋において、他の死因群では認められない時期(生後2および4ヶ月)にリポフスチンやエ顆粒、一部に脂質の沈着が認められた。 3.その他の所見について:鬱血、気質の鬆粗化(浮腫)、点状出血等を検索した。SIDSの特徴所見としては延髄における鬱血の程度が他の死因に比して弱いと思われた。現在は頭蓋内の外後頭孔や延髄の面積、小脳扁桃ヘルニアの有無・程度等を併せて検討中で、これら成果の一部は第80次日法医総会で発表予定である。 以上より、画像解析では小脳の顆粒層・外顆粒層の所見よりSIDSにおける脳の未熟性が示唆され、また神経細胞における消耗性色素等の早期出現はSIDSの死亡原因を考察する上で極めて有用な所見と思われた。
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