1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670510
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
秋山 和子 久留米大学, 医学部, 助教授 (40080634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博司 久留米大学, 医学部, 教授 (20112039)
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Keywords | ヒト唾液ムチン / 唾液特異ムチン / 脱糖ムチン / ABO式血液型活性ムチン / アポムチン / ムチン糖蛋白 |
Research Abstract |
ABO血液型活性を示すヒト唾液ムチンに特異性を示すモノクローナル抗体P4-5Cが木村章彦等によって開発されている。P4-5Cに特異性を示すヒト唾液ムチンを分離・精製し、P4-5Cのエピトープ、並びにムチン糖蛋白のコア蛋白部分の解明を試みた。 P4-5Cの免疫原調製方法に従って、30分間煮沸した唾液の遠心上清に、エタノール(2倍量)を加えて沈殿する分画を得た。これをシアリダーゼ消化、還元・カルボキシメチル化後2M尿素中でトリプシン消化した。消化物をSuperose 6カラム(FPLC装置、6M塩酸グァニジン溶液を使用)で分画した。素通りして溶出される分画(T-1)は、P4-5Cに陽性であり、クマシ-青蛋白染色に陰性、アルシアン青糖染色に陽性であった。この分画は高分子ムチン糖蛋白と考えて差し支えない。P4-5Cに対する糖鎖の関与を検討したところ、T-1を過ヨード酸々化し、続いてβ-脱離反応によって脱糖してもP4-5Cに陽性であった。しかし、更にTFMSを用いて4℃、4時間の脱糖処理を行うと、P4-5Cに対する活性は完全に消失した(DGムチン)。DGムチンはSDS・PAGE(10%ゲル)で、クマシ-青染色性の分子量13万・7万と推定される蛋白バンドとして検出された。このことから、P4-5Cのエピトープは糖鎖が大いに関与しており、ヒト唾液ムチンに特異的に存在する糖鎖のクラスターがP4-5Cのエピトープであり、ペプチド部分は抗原性に直接関係していないと考えざるを得ない。DGムチンをSuperose 12カラム(FPLC装置、0.5%NH_4HCO_3溶液を使用)で精製した。素通り分画(DG1)のアミノ酸組成は一般に認められているムチン独特の組成を示した。DG1のN末端アミノ酸配列分析(1-14)を試みたが、非常に片寄ったアミノ酸組成(Thr,Ser,Pro,Alaが全体の70%を占める)に加えて、変異が多いと考えられる事から、決定的アミノ酸配列を報告するに至らなかった。種々のムチンコア蛋白について、アミノ酸配列の繰り返し単位が遺伝子手法を用いた研究で見い出されている。今回得た成績をそれ等に対比させ、ヒト唾液ムチン糖蛋白のコア蛋白部分の特異性を検討することが出来た。
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