1995 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシンショックにおける脳障害発生に関与するペプチドロイコトリエンの役割
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07670511
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
北 敏郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00131912)
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Keywords | エンドトキシン / 脳浮腫 / MRI / ペプチドロイコトリエン |
Research Abstract |
われわれはこれまでにエンドトキシンショックにおけるTNFの役割を経時的に検討した。その結果、LPS投与30分後に第三脳室壁を構成する上衣細胞から視床下部領域を中心にTNFが産生され髄液脳血管関門(CBB)の破綻が生じることが明らかとなった。 今回、まず動物用MRI装置を用いて経時的に脳の変化を観察した。LPS投与1時間後から第三脳室を中心とした視床下部領域に浮腫が生じ、3時間後にはその浮腫は著明となり、その後さらに漸次浮腫が増悪することがT2強調画像から明らかとなった。エンドトキシンショックにおける脳障害は、第三脳室を中心とした視床下部領域を端緒として発生し、TNFがその発生に関与していることが示唆された。これらの所見は、エンドトキシン血症の初期における高熱発生などの病態像を積極的に説明しうるものであると考えられた。 次に、脳脊髄液中のペプチドロイコトリエン(LT)を経時的に定量した。LPS投与1時間後ではLT値に変動はなかったが、5時間後にはLT値の上昇が認められた。脳脊髄液のTNF量がLPS投与1時間後を頂点に減少するのに、LTは時間の経過とともに上昇することが特徴的で、このLT値の上昇はMRIで観察された脳浮腫発生と相関するものであった。さらに、視床下部領域を中心に抗LT抗体を用いた免疫電顕で、LTの局在を経時的に観察した。LTの局在はLPS投与1時間以降、炎症性細胞を中心にグリア細胞、アストロ細胞などの間葉系細胞のライソゾームに局在しているのが認められた。その局在は特に血管周辺に密で、実験期間中(投与5時間後)継続して観察された。これらのことから、エンドトキシンショックにおける脳障害としての脳浮腫は、血管透過性亢進を主体としたLTの脳血管障害によって発生している可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)