1995 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息の寛解とダニ抗原特異的T細胞の機能に関する研究
Project/Area Number |
07670514
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
河野 陽一 千葉大学, 医学部, 助教授 (60161882)
|
Keywords | 気管支喘息 / 寛解 / ダニ抗原 / T細胞株 / インターロイキン-4 / インターロイキン-5 / インターフェロン-γ |
Research Abstract |
(1)ダニに感作されている気管支喘息患者と非アトピー健康人の末梢血単核球のダニ抗原に対する芽球化反応を検討したところ、ダニに対する特異IgE抗体陰性の健康人の末梢血単核球も患者と同様にダニ抗原に対して増殖反応を示した。すなわち、健康人においてもダニ抗原を認識するT細胞が末梢血中に存在することが明らかとなった。そこで、患者および健康人の末梢血単核球からダニ抗原特異的T細胞株を樹立し、抗原刺激により産生されるIL-4およびIFN-γをELISAにて測定した。その結果、患者由来ダニ特異的T細胞株はすべて高濃度のIL-4を産生したのに対し、健康人由来のダニ特異的T細胞株は、一部のみがIL-4を産生したのみであり、またその産生量も患者由来ダニ特異的T細胞株と比較して有意に低値であった。IFN-γについては、患者、健康人ともごく一部のT細胞からの産生が認められた。 (2)末梢血単核球をダニ抗原で刺激し、個々の細胞内に産生されたインターロイキン4(IL-4),IL-5,ガンマインターフェロン(IFN-γ)についてflow cytometryを用いて解析する方法を樹立した。その結果、気管支喘息患者は健康人と比較して、ダニ抗原刺激でIL-4およびIL-5を産生するCD4陽性T細胞の増加が認められた。一方、IFN-γ産生については健康人と患者において差が認められなかった。 (3)以上から、ダニに対するIgE抗体の有無に関わらず患者および健康人末梢血中にダニ抗原を認識するT細胞が存在すること、ダニ抗原に対するT細胞応答は、健康人と気管支喘息患者間でIFN-γ産生には大きな差はないが、気管支喘息患者のみにIL-4およびIL-5の産生亢進があることが明らかとなった。このように患者と健康人におけるダニ抗原に対する応答の質的な違いが気管支喘息の発生に大きく関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] Nakajima H.: "Establishment and characterization of αs1-casein-specific T cell line s from cow′s milk-anergic patients:unexpecfed higher frequency of CD8^+ T cell lines." J. Allergy Clin. Immunol.(in press).
-
[Publications] Honma K.: "Allergenic epitopes of ovalbumin in patients with hen′s egg allergy:inhibition of basophil histamine release by haptenic ovalbumin peptide." Clin. Exp. Immunol.(in press).
-
[Publications] Katsuki T.: "Establishment and characferization of ovalbumin-specific T cell liues from patients with egg allergy" Int.Arch. Allergy Immunol.(in press).
-
[Publications] 西牟田 敏之: "小児気管支喘息に対するペミロラストカリウム(アレギサール(R)ドライシロップ)の臨床効果の検討-特に,%ピークフロー値の推移について" 小児科臨床. 48. 2631-2644 (1995)
-
[Publications] 山口 賢一: "小児皮膚筋炎の早期診断-当科管理中の小児皮膚筋炎患者6症例の検討-" 小児科診断. 58. 1794-1797 (1995)
-
[Publications] Kohno Y.: "Recent advances in prediction and preveution of childhcod allergy" Churchill Livingstone, 91-98 (1995)
-
[Publications] Kohno Y.: "Recent advances in prediction and prevention of childhood allergy" Churchill Livingstone, 99-109 (1995)
-
[Publications] 河野 陽一: "免疫のしくみと病気" 日本評論社, 14-18 (1995)
-
[Publications] 河野 陽一: "低アレルギー食品の開発と展望" シ-エムシ-, 63-71 (1995)