1995 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞浸潤における細胞表面制御分子としてのヘパラン硫酸プロテオグリカンの関与
Project/Area Number |
07670550
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 助手 (30248562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
織田 進 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80035237)
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Keywords | 白血病 / chemokine / プロテオグリカン / インテグリン / 細胞接着 / 血管内皮細胞 / 転移 |
Research Abstract |
末梢血中を循環する腫瘍細胞は、腫瘍細胞上のインテグリンを介して血管内皮細胞と接着した結果組織内へ浸潤する。成人T細胞白血病(ATL)は、急性期には、末梢血ATL細胞数の著しい増加と著明な臓器浸潤傾向を呈する。本研究では、腫瘍転移の一ステップである臓器浸潤機構(extravasation)を検討するために、特に、接着分子そのものではなく、その発現や接着性を制御する因子であるchemokineを始めとするヘパリン結合性サイトカインとヘパラン硫酸プロテオグリカンの作用機構に着目して、ATL細胞と血管内皮細胞との接着機構を解明した。その結果、ATL細胞では、インテグリンが既に活性化され血管内皮細胞と高率に接着すること、自ら産生するchemokineがインテグリンの活性化と接着を誘導することを認めた。さらに、ATL細胞は、細胞表面にヘパラン硫酸プロテオグリカンを特徴的に大量に発現してchemokineを固相する事、ヘパラン硫酸を処理するとchemokineを介するインテグリンの活性化とATL細胞の接着が阻害される事を認めた。これらの結果より、流血中の白血病細胞では、ヘパラン硫酸は、本来流動性と拡散性の高いサイトカインであるchemokineを細胞質内で固相化し、細胞表面に発現した後に、血流により流出されずにchemokine受容体に転送する事により、ヘパラン硫酸がchemokineを介するautocrine刺激機構を介在する可能性が示唆された。以上、ヘパラン硫酸プロテオグリカンのATL細胞と血管内皮細胞との接着と臓器浸潤における意義に言及することが出来、当初計画した平成7年度の研究計画をほぼ達成したと考える。平成8年度には、ATL細胞に発現するヘパラン硫酸プロテオグリカンの糖鎖とコア蛋白の構造解析を行い、その制御の可能性を追及する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Wake, A: "Calcium-dependent homotypic adhesion through leukocyte function-associated antigen-1/intercellularadhesion molecule-1 induces interleukin-1 and parathyroid hormone-related protein production on adult T-cell leukemia cells in vitro" Blood. 86. 2257-2267 (1995)
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[Publications] 田中良哉: "Tリンパ球の機能発現と接着分子:サイトカインとの接点" 医学のあゆみ. 174. 13-17 (1995)