1995 Fiscal Year Annual Research Report
Lac-Z遺伝子導入膵癌転移モデルに対するアンチセンス治療の効果
Project/Area Number |
07670575
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
斉藤 清二 富山医科薬科大学, 付属病院, 講師 (70126522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 清博 富山医科薬科大学, 付属病院, 講師 (00135021)
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Keywords | K-ras癌遺伝子 / 膵臓癌 / 点突然変異 / アンチセンスヌクレオチド / 遺伝子治療 / 培養細胞 / Lac-Z gene |
Research Abstract |
1.膵癌細胞培養系におけるK-ras癌遺伝子突然変異の検討 ヒト膵癌由来培養細胞系HuP-T1,HuP-T3,HuP-T4、BxPC-3、PANC-1、AsPC-1および、ハムスター実験膵癌由来培養細胞系HaP-T1からDNAを抽出し、PCR-direct sequence法によって塩基配列を確認した。その結果、GGT→GTT、GGT→CGT、GGT→GATの3種類のCodon12の点突然変異を認めた。 2.アンチセンス導入による腫瘍細胞内K-ras遺伝子転写と増殖の抑制 3種の変異型と野生型K-rasに各々対応する17塩基のアンチセンスヌクレオチドをそれぞれ合成し、in vitroにおいてリポゾーム法により腫瘍細胞に導入し、RT-PCR法によりm-RNAの発現を、MTTアッセイにより腫瘍細胞の増殖能をそれぞれ検討した。その結果、点突然変異特異的アンチセンスは、導入直後よりm-RNAの発現を抑制し、24時間後の増殖を有意に抑制したが、野性型および異なった点突然変異に相補的なアンチセンスでは抑制は認められなかった。 3.Lac-Z gene導入ハムスター膵癌転移モデルにおけるin vivoでの検討 ハムスター膵臓癌細胞HaP-T1に、Lac-Z geneをトランスフェクションし、組織中で検出可能なモデルを作成した。動物の腹腔内に接種された腫瘍細胞は、接種1週後には、明らかな腹腔播腫巣を形成するが、突然変異特異的なアンチセンスを腹腔内に投与することにより、播腫巣の形成は有意に抑制された。 4.結論 K-ras癌遺伝子点突然変異に特異的なアンチセンスヌクレオチドの導入により、膵癌の増殖は有意に抑制され、本治療法の膵癌に対する臨床応用の可能性が示唆された。
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