1996 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞傷害におけるスーパーオキサイド、Ca^<2+>の関与とその抑制に関する研究
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07670594
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浮田 實 岡山大学, 医学部・付属病院, 講師 (70151842)
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Keywords | 酸化的ストレス / 肝細胞傷害 / カルシウムホメオスターシス / サイクロスポリンA / 過酸化脂質 / ミトコンドリア膜電位 / 肝潅流 / スーパーオキサイド |
Research Abstract |
培養肝細胞を用いた検討は、平成7年度に引き続き追加実験を行い、"The suppressive effect of a cytosolic calcium ion chelator on the hepatocellular injury by oxidative stress."として、International Hepatology Communicationに投稿、受理された。 その内容は、tert-butyl hydroperoxide(TBHP)によって誘導される肝細胞傷害は、0,1,3mMの細胞外液Ca^<2+>濃度において、細胞膜の脂質過酸化は大きく異なったに拘わらず、細胞内Ca2+をキレートすることにより、いずれの[Ca^<2+>]oでも著明に抑制され、ミトコンドリアの膜電位にも影響されなかった。以上の成績より、TBHPによる肝細胞傷害において細胞内Ca^<2+>ホメオスターシス維持機構が重要であることが明かとされた。 肝潅流系におけるサイクロスポリンA(CysA)の傷害抑制に関する検討は、摘出ラット肝定流量潅流系を用いTBHPによる肝傷害を作成し検討した。潅流液のCa^<2+>濃度を変化させて潅流液中の各パラメータを測定して比較すると、対照群では生理的濃度である1.25mMの[Ca^<2+>]oでは傷害は軽度であるが、0mM,2.50mMでは高度の傷害を来たした。一方、CysA群ではいずれの[Ca^<2+>]oでも傷害は著明に抑制され、各[Ca^<2+>]o間に有意差を認めなかった。しかし、TBHP投与開始後[LDH]が上昇するまでの時間は、[Ca^<2+>]oが0,1.25,2.50mMの順に短かかった。すなわち、CysAによる傷害抑制機構には、Ca^<2+>依存性の機構が関与するが、Ca^<2+>非依存性の機序も同時に存在している可能性が示された。
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[Publications] Mikami M,Ukida M,et al: "The suppressive effect of a cytosolic calcium ion chelator on the hepatocellular injury by oxidative stress" International Hepatology Communication. (in press).