1995 Fiscal Year Annual Research Report
Ras機能発現抑制による肝発癌予防および肝癌治療の試み
Project/Area Number |
07670599
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 浩徳 九州大学, 医学部, 助手 (70196046)
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Keywords | 肝細胞癌 / ras蛋白 / HMG-CoA reductase阻害剤 / メバロン酸 |
Research Abstract |
メバロン酸代謝産物は、ras蛋白活性化などを介して細胞増殖に強く関与しており、メバロン酸合成の律速酵素であるHMG-CoA reductase阻害剤は正常細胞や癌細胞の増殖抑制に働くと考えられる。 1.肝癌細胞株の増殖におよぼすHMG-CoA reductase阻害剤の影響。 肝癌細胞株としては、それぞれの分化の程度を考えHep G2、 HuH-7、 HLE、 PLC/PRF/5の4種の細胞株を用いた。HMG-CoA reductase阻害剤として、肝細胞内への輸送にanion transporterが必要とされているpravastatinと非特異的に細胞内へ輸送されるsimvastatinを用いた。24穴プレートに培養した細胞に各種濃度(0、0.1、1、10、100μM)のHMG-CoAreductase阻害剤を添加、12、24、48、96時間後の細胞数をMTT還元能を用いて算出した。その結果、simvastatin添加群では濃度依存的に癌細胞増殖抑制効果を認めた。10μM添加48時間培養ではコントロール(無添加)と比較して、Hep G2で37.0%、HuH-7で50.6%、HLEで47.3%、PLC/PRF/5で56.4%の増殖を認めるのみであり、これらの増殖抑制効果はメバロン酸(100μM)の投与により消失した。一方、pravastatinには増殖抑制効果(〜100μM)を認めず、癌化した肝細胞では輸送機構が発達していないためと考えられる。 2.4名の肝癌患者にsimvastatin、4名の患者にpravastatinを投与し経過をみた。simvastatin投与群中2名に腫瘍マーカーの増加抑制を認めたが、pravastatin投与群では全例無効であった。
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