1996 Fiscal Year Annual Research Report
消化吸収過程が消化管ホルモンによる胃液、膵液分泌調節に及ぼす影響
Project/Area Number |
07670621
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
白鳥 敬子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70101855)
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Keywords | 消化管ホルモン / セクレチン / コレシストキニン / CCK受容体 / 胃酸分泌 / 膵外分泌 / 膵内外分泌相関 / インスリン |
Research Abstract |
腸管での食物消化には膵酵素の存在が不可欠で、その消化段階に応じ胃液や膵液分泌は微妙に変化していると考えられる。本研究では、摂取された栄養素により消化液分泌がどのように対応し、また消化管ホルモンがそれらをどのように調節しているのかを明らかにする。平成7年度は脂肪について検討したが、平成8年度は腸管内栄養素として蛋白質をとりあげ、腸管における蛋白の消化過程と胃液分泌、膵液分泌の関係を中心に研究をすすめ、さらに各種のコレシストキニン(CCK)受容体拮抗薬の膵液分泌抑制作用も評価した。 1.麻酔下のラットで、十二指腸に未消化の蛋白質としてカゼイン蛋白、その消化産物として混合アミノ酸を持続的に投与し、膵液分泌と血中セクレチン、CCK濃度の変化を観察した。カゼインを投与すると、酵素分泌を主とした膵液分泌の増加が認められ、セクレチンに比しCCKの遊離が増強した。一方、アミノ酸投与ではセクレチンの遊離がCCKよりも優位で、重炭酸分泌を主とする膵液分泌の増加を認めた。以上より、腸管内での蛋白の消化過程に応じ消化管ホルモンの遊離が変化し、膵液成分に変化が生じることを証明した。 2.ラットでin vivoの胃内灌流モデルを作成し、胃内にペプトンを灌流し、十二指腸にアミノ酸を投与し胃酸分泌やガストリン遊離に対する効果を検討した。その結果、十二指腸にアミノ酸を投与すると、ペプトンで増加した胃酸分泌やガストリン遊離は有意に抑制された。また、この抑制反応が抗セクレチン血清によるimmunoneutralization法によって有意に減弱したことから、内因性セクレチンが重要な役割を果たしていることを証明した。 3.各種のCCK受容体拮抗薬の膵外分泌抑制効果を比較検討した。従来の経静脈投与のみならず、十二指腸投与によっても強力な膵外分泌抑制効果が得られ、将来、経口可能な膵疾患治療薬として臨床応用への可能性が示された。
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[Publications] Ikeda M,Shiratori K: "Intraduodenal amino acids inhibit gastric acid secretion and gastrin release mediated by secretin in rats." Gastroenterology. 110. A807 (1996)
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[Publications] Shiratori K: "The physiological role of gastrin,CCK,and acetylcholine in gastric acid secretion in the gastric phase in rats." Regulatory Peptides. 64. 174 (1996)
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[Publications] 岩部千佳,白鳥敬子: "膵内外分泌相関の基礎知識" 胆と膵. 16. 637-642 (1996)
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[Publications] Moriyoshi Y,Shiratori K: "Effect of a novel cholecystokinin receptor antagonist,FK480,administered intraduodenally,on pancreatic secretion in rats." Pancreas. 10. 295-300 (1995)
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[Publications] Moriyoshi Y,Shiratori K: "Duration of anti-cholecystokinin action on the rat exocrine pancreas of new CCK receptor antagonist FK480 administered orally." Journal of Gastroenterology. 31. 249-253 (1996)
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[Publications] 岩部千佳,白鳥敬子: "膵外分泌調節因子としての内因性インスリンの役割に関する研究." 日本膵臓学会誌. 11. 360-367 (1996)