1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール性肝障害の線維化に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
07670624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
土谷 まり子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00266826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 毅 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90130252)
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Keywords | 肝硬変 / アルコール性肝障害 / 肝線維化 / コラーゲン / NOS / エンドトキシン |
Research Abstract |
アルコール性肝障害時には、さまざまな生理活性物質が生体ならびに肝自体の病態生理の成立に関与していると推測されている。特に最近は血管の構成細胞由来の物質の同定とその生理作用が次々に明らかにされつつある。アルコール性肝障害時や肝硬変における門脈圧亢進を中心とした循環動態の変化やエンドトキシンへの暴露などの臨床的特徴とこうした物質の関与が検討され、さらにTGF-βなどの経路を介して肝線維化の引き金となると推測される。今回、昨年度確立したアルコール負荷ラットにおいて、それぞれNOおよびCOの合成酵素であるNitric oxide synthase(NOS)およびHeme oxygenase(HO)の各isoformの肝内発現の変化を、mRNAレベルで検討した。またエンドトキシンであるLipopolysaccharideを外因性に投与して、正常およびエルコール負荷肝でのmRNAの発現におよぼす影響、およびNOについては、NOを誘導させたラットの血中NO-Hb量をElectron-spin resonance法で測定し、活性化NOを定量化した。 1.eNOSの発現は定常的であり、Northern、PCR解析においてコントロール、アルコール負荷で差はなく、LPS投与下でも発現の亢進は観察されなかった。iNOSはRT-PCR解析でもコントロール、アルコールとも発現は低いがLPS投与下ではコントロール、アルコール負荷ともに誘導された。NO-HbはLPS負荷後6時間でアルコール群で高度の反応が認められた。 2.constitutiveな発現が期待されるHO-IIはコントロール、アルコールとも定常的に認められ、またHO-IはNorthern解析においてもPCR法においても、発現が確認された。さらにHO-IはLPS負荷によりコントロールおよびアルコール負荷モデルでも誘導された。HO-Iはthioacetamide負荷の肝硬変モデルラットではアルコールに比較して、発現が亢進していた。 3.type IV コラーゲンのmRNAの定量および同定はmRNAのサイズが大きく、安定した解析が困難であったので、その定量にはRNA protection assay法を導入した。またtype IVの各サブタイプの特異的抗体が入手可能であり、染色を試行する予定である。 生理活性物質のmRNAレベルおよびNOラジカルの検討を行い、線維化への端緒となるメカニズムの検討とともに、線維化状態のコラーゲンの構成について検索した。
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Research Products
(1 results)