1996 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるVEGFとそのリセプターの発現についての研究
Project/Area Number |
07670627
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川原 弘 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10177727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 信 金沢医科大学, 医学部, 助手 (50170824)
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Keywords | VEGF / 肝細胞癌 / 血管新生 / Hyoxia |
Research Abstract |
肝細胞癌の大きな特徴の一つとして、肝動脈からの栄養血管がきわめて良く発達したhypervascularな腫瘍であることが挙げられる。このような特徴を応用して行なわれる肝動脈塞栓術によって、一旦腫瘍が退縮しても、再び血管の新生が起こり、血流が再開する症例も少なくない。最近、vascular endothelial growth factor(VEGF)が分離・同定され、強力な血管新生因子として注目されてるようになってきている。そこで、肝硬変・肝癌組織におけるVEGFの発現を免疫組織化学的に検討した。【対象および方法】手術・剖検が行われた肝癌症例50例を対象にした。肝硬変・肝癌組織から通常のホルマリン固定・パラフィン切片を作成し、以下の免疫染色を行なった。組織切片は脱パラ後、抗VEGFマウスモノクローナル抗体を用いたavidinebiotinylated peroxidase complex(ABC)法で免疫染色を行なった。【結果】肝癌組織では、13例(26%)にVEGFの発現が認められた。特に、肝癌の一部が壊死をきたしている症例では、壊死周辺の肝癌細胞にきわめて強いVEGFの発現が認められた。肝硬変組織では、再生結節の辺縁の肝細胞で弱いVEGFの発現が認められた。また、結節を取り囲む間質に存在する増生した胆管細胞や血管平滑筋にも明らかなVEGFの染色が認められた。【考案】肝癌では、壊死部に隣接した肝癌細胞に強いVEGFの発現が認められたことから、壊死部位の血管新生にVEGFが重要な役割を果たしている可能性が考えられた。一方硬変肝では、再生結節辺縁の肝細胞および間質の増生胆管細胞と血管平滑筋にVEGFの発現が認められ、肝硬変組織における血管新生にもVEGFが関与している可能性が考えられた。
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