1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670629
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
野田 愛司 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (30023790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野々垣 常正 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50109758)
奥山 誠 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90233486)
竹内 一浩 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90268003)
伊吹 恵里 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70213204)
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Keywords | 膵石症 / 膵石溶解 / トリメタジオン / ジメタジオン / クエン酸 / 膵管再構築 / 蛋白栓 / 塩酸ブロムヘキシン |
Research Abstract |
1.基礎的研究 1)in vitro溶解 重炭酸塩水溶液および膵液を溶媒とするジメタジオン(DMO).クエン酸溶液100ml中に0.2gの粉末CaCO_3を添加し、その溶解度を検索した。その結果、CaCO_3の溶解度は、有機酸の濃度には正の、重炭酸塩濃度とpHには負の相関を示し、非煮沸膵液中では抑制された。CaCO_3の溶解度は、クエン酸溶液>DMO溶液であった。これらは、前年度に報告したイヌでの実験結果と考察に更に支持する結果である。 2)膵管病変の三次元的(3D)構築 膵管内に蛋白栓を有するアルコール性慢性膵炎患者の切除膵を用いて連続切片を作製し、HE染色を行った。現在、これを3D構築用コンピュータにかけ、膵管の再構築を行っている。 2.臨床的研究 1)34例の膵石症患者にトリメタジオン(TMO)を用いる経口膵石溶解療法を行った。その結果、68%に溶解効果を、33.%に膵外分泌機能障害の正常化を認め、また、膵性糖尿病の63%が食事療法と経口剤によって十分にコントロールされ、78%に疼痛の消失を認めた。膵石溶解後も内服を継続すべきであると考えられる。 2)膵管内の蛋白栓ないし非陽性結石か、あるいは粘稠度の高い膵液に起因すると思われる頑固な反復性膵炎発作を訴える2例に、去痰剤である塩酸ブロムヘキシンを投与した。その結果、膵炎発作は劇的に消失し、かつ膵管内蛋白栓の消失と膵管の不整拡張の改善を認めた。当薬剤はこのような"機能的膵管狭窄"に対して有望な薬剤になりうると思われ、今後の基礎的、臨床的研究が必要である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 野田愛司: "膵石症の治療選択と予後:経口膵石溶解療法の適応と限界" 胆と膵. 17・10. 987-995 (1996)
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[Publications] 野田愛司: "慢性膵炎の新しい治療:膵石の治療;膵石溶解療法の適応と成績" 肝胆膵. 33・3. 429-436 (1996)
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[Publications] Noda,A.: "Compardtive in vitro studies of dimethadione and citric acid for lysis of pancreatic stones" Jpn. J. Clin. Pharmacol. Ther.27・3. 575-581 (1996)
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[Publications] Noda,A.: "Bromhexine hydrochloride eliminates protein plugs and relieves attacks of pancreatitis" Panereas. (in press).
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[Publications] 村山英生: "慢性膵炎患者の膵管内蛋白栓に対する一試み:一症例の検討から" 胆膵の生理機能. (in press).
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[Publications] 野田愛司: "トリメタジオンを用いる経口膵石溶解療法の効果的施行方法:内服の一時的中断ないし完全中止とその後の経過からみた検討" 膵臓. (in press).
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[Publications] 野田愛司: "プロトコール「消化器疾患の治療」膵石症の治療をめぐって:膵石症治療における経口膵石溶解療法(OLT)の意義とその位置づけ" 小林絢三(編)(永井書店)(in press),
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[Publications] 野田愛司: "(財)膵臓病研究財団第3回研究報告書,慢性膵炎における膵石の生成機序ならびに治療と予防に関する研究" 膵臓病研究財団(in press),