1996 Fiscal Year Annual Research Report
トリコスポロノ-シスの発症機序とその予防に関する研究
Project/Area Number |
07670673
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菅 守隆 熊本大学, 医学部, 助教授 (20154437)
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Keywords | トリコスポロノ-シス / Trichosporon asahii / cyclophosphamide / tumor necrosis factor-α (TNF-α) / 顆粒球減少症 / 日和見感染 / granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) |
Research Abstract |
トリコスポロノ-シスの病態を解析するためにcyclophosphamide(CP)によるトリコスポロノ-シスモデルマウスを作成し、その病理学的検討、臓器中の菌数、サイトカインの動態について検討した。その結果、1)CP投与により好中球が減少したウスにT.asahiiを感染させるとCP非投与マウスに比し著明に致死率が上昇した。2)この好中球減少Trichosporon感染マウスは末梢血および肺組織浸潤好中球の減少、感染初期の組織中菌量の増加、BALF中のTNF-αの著明な上昇を認めた。3)この好中球減少Trichosporon感染マウスにrhG-CSFを投与することにより、末梢血および肺浸潤好中球の増加、感染初期の組織中菌量の減少を認めるともに、BALF中のTNF-αが減少し、致死率が改善した。一方、rhGM-CSFでは末梢血の好中球の増加を認めるにも拘らず、BALF中のTNF-αの増加を抑制せず致死率の改善も認められなかった。4)このTNF-αの産生細胞を免疫組織学的にrhG-CSFを投与群と非投与群で比較検討した結果、非投与群でマクロファージに強い陽性像を認めた。5)anti-TNF-αの抗体を用いて血清中のTNF-αレベルを抑制しても生存率の改善が見られず、この時肺局所のTNF-αレベルはほとんど抑制されなかった。 以上より、Trichosporon感染症における肺障害にTNF-αが関与していることが示唆され、G-CSFはこの病態を改善するがGM-CSFは有効ではないことが明かとなった。
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[Publications] Masayuki Ando: "Summer-type hypersensitivity pneumonitis" Internal Medicine. 34. 707-712 (1995)
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[Publications] Moritak Suga: "Mechanisms accounting for granulomatous responses in hypersensitivity pneumonitis" Sarcoidosis. (in press). (1997)
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[Publications] 菅 守隆: "Trichosporon感染症の病態" 化学療法の領域12:1434-1440,1996. 12. 1434-40 (1996)
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[Publications] 菅 守隆: "過敏性肺炎-現況、病態、診断、治療と予防-" 医学のあゆみ. 180. 24-28 (1997)
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[Publications] 菅 守隆: "トリコスポロン" THERAPEUTIC RESEARCH. 17. 16-21 (1997)