1996 Fiscal Year Annual Research Report
びまん性汎細気管支炎の成因と病態に関する分子生物学的研究
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07670679
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 邦彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60246452)
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Keywords | びまん性汎細気管支炎 / 気道上皮細胞 / 遺伝子発現 / CFTR遺伝子 / CC10遺伝子 / differential display |
Research Abstract |
本研究は原因不明の慢性炎症性気道疾患である。びまん性汎細気管支炎(DPB)の成因および病態に関わる分子機構を解明することを目的とするものである.DPBの基礎病態として,気道上皮で特異的に発現される遺伝子が関わっていることが推定されるため,平成7年度にはまずこれらの気道特異的遺伝子の代表例として,CFTR,CC10遺伝子に焦点を当て,その構造異常の有無を検討した.ここでCFTRはCaucasus系白人に発症頻度が高く,DPBと類似の臨床像を呈する遺伝性の嚢胞性線維症(CF)の原因遺伝子であり,これまで500種以上の突然変異が報告されているが,東洋人におけるCFの報告例はきわめて少ない.一方,CC10は気道上皮細胞から分泌される抗炎症作用を有する蛋白であるが,疾患に対する関与は不明である.これまでに,欧米CF症例にみられるCFTR遺伝子の変異のうち,主要32病的変異の有無をDPB患者のゲノムDNAを用いて解析し,CFの原因となるCFTR遺伝子の主要変異がDPB患者には認められないことを明らかにした.さらに,CC10遺伝子に関しても,DPB患者のゲノムDNAないし気道上皮由来のmRNA(cDNA)を用いた解析から,アミノ酸をコードする塩基配列には全く異常は認められないことを証明した.平成8年度には,まず日/独混血のCF双生児例に新たに見いだされ,日本人母親から由来したと考えられるCFTR遺伝子変異(D979A,exon16)についてDPB症例でその有無を検討したが,この変異はDPB患者には検出されなかった.また,ΔF508をはじめとする多くの病的変異の集積するexon 10の全塩基配列をDPB症例において解析したが,これまで報告のある正常亜型変異を認める他は有意な異常は検出されなかった.さらにDPB患者と健常者の気道上皮細胞において発現されるmRNA(cDNA)の質的・量的差異を,ブラッシングで回収されたそれぞれの気道上皮細胞から抽出したRNAのRT-PCR増幅によるdifferential display法により検討した.その結果,両群気道上皮間で異なる発現様式を示した複数の遺伝子を検出し,その構造および機能を現在解析中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Aoki K et al: "Ectopic pulmonary ossification in human idiopathic pulmonary fibrosis and murine bleomycin-induced pulmonary fibrosis" Jikeikai Medical Journal. 43. 191-205 (1996)
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[Publications] 安斎千恵子,吉村邦彦: "びまん性汎細気管支炎患者におけるCFTR遺伝子の塩基変異に関する解析" 東京慈恵会医科大学雑誌. 111. 909-918 (1996)
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[Publications] 田辺修ら: "びまん性汎細気管支炎症例におけるCC10遺伝子の構造と発現に関する研究" 東京慈恵会医科大学雑誌. 112. 99-107 (1997)