1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670687
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
城戸 優光 産業医科大学, 医学部, 教授 (10101172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今永 知俊 産業医科大学, 医学部, 助手 (80289587)
吉井 千春 産業医科大学, 医学部, 助手 (70289586)
永田 忍彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (20189137)
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Keywords | アカトゲトサカ / 職業性喘息 / モルモット / 即時型喘息発作 / 遅発型喘息発作 / サイトカイン / 気道過敏性 |
Research Abstract |
宮崎県太平洋岸のイセエビ漁師の間に毎年9月から4月の漁期にイセエビを網からはずす作業を行うとき、くしゃみ、鼻汁、咳嗽、喘息発作、結膜の充血などの症状を起こす人達がいることが、鬼塚らにより報告され、その原因が、イセエビとともに網にかかる腔腸動物のアカトゲトサカ(Dendronephythya nipponica,Red Soft Coral、以下RSCと略)に対するアレルギーであることが判明した。現在、鬼塚・神谷らによりRSCの主要抗原が精製され、即時型皮内反応、特異的IgG抗体およびIgE抗体の高値を示す分画の解析により21Kと53Kが主要抗原であることが判明している。 RSCによる喘息の病態生理をさらに詳しく検討するために、我々は即時型喘息発作を起こすモルモット喘息モデルを作成したが、さらにヒトと同じく遅発型発作を起こすモデルを作成し、気管支・肺障害モデルを作成すべく実験をすすめた。 RSCをCFAとともに能動感作すると43日目にはPCAにより高濃度のIgG1抗体が証明され、RSC抽出液の吸入曝露により全ての動物で直ちに呼吸抵抗の上昇が認められたが、4時間後にはbaselineに戻り遅発型の反応は観察されなかった。遅発型喘息反応を誘発すべく感作法を変えて試みているが未だ成功していない。抗原曝露6時間後呼吸抵抗が戻った時点でアセチルコリンに対する気道の反応性を測定すると曝露前に比べ有意の亢進がみられた。また、この時点での気管支上皮には有意の好酸球の浸潤の増加がみられた。 さらに右肺と右主気管支よりmRNAを抽出しmRNAをRT-PCR法にてMBP、IL-1、TNF-α、TNG-β、PDGF、Mn-SODなどのサイトカインの発現について検討した結果、RSC吸入曝露直後の肺組織にはMn-SODのmRNAの発現がみられたが、IL-1、TNF-αの発現はあきらかではなく、また、曝露後6時間目にはこれらのcytokine全てについて有意の発現がみられなかった。 しかし、組織標本では、曝露6時間後に気管支粘膜への好酸球の浸潤がみられることから、今後はIL-4やIL-5の発現の有無を検討する必要がある。 また、肺胞洗浄液の細胞数および細胞分画の解析、気管支および肺胞領域での細胞浸潤の動態の解析を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tao Y.: "Guinea Pig Asthma Induced by Red Soft Coral(Dendronephtya nipponica)Inhalation" International Archives of Allergy and Immunology. 105. 317-324 (1994)
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[Publications] 城戸 優光: "気管支喘息の病理:動物モデルとヒトとの差異" The Lung(Perspectives). 3. 33-37 (1995)
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[Publications] 城戸 優光: "低分子化学物質による職業性喘息" 産業医学レビュー. 8. 117-127 (1995)
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[Publications] Kido M.: "Guinea Pig Model of Occupational Asthma Induced by Red Soft Coral(Dendronephtya nipponica)" 25th International Congress Occupational Health. 1. 278 (1996)