1995 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるスーパーオキシドジスムターゼの分子病理学的研究
Project/Area Number |
07670698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 順 東京大学, 医学部(病), 助手 (10211252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 繁雄 東京大学, 医学部(病), 助手 (50183653)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / スーパーオキシドジスムターゼ / 突然変異 / 免疫組織化学 / インサイチュウハイブリダイゼーション / イミノジプロピオニトリル |
Research Abstract |
これまでに本邦の家族性筋萎縮性側索硬化症(以下FALS)8家系を収集し、発症者についてゲノムDNAの抽出およびEBウイルスによるリンパ芽球細胞株化おこなってきた。可能な症例については、赤血球スパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の測定をおこなっている。FALSの原因遺伝子のひとつであるSOD1遺伝子は5つのエクソンよりなる。この5つのエクソンについてそれぞれPCR法により増幅し、制限酵素解析、SSCP法およびシークエンシングにより、突然変異の有無を検索している。これまでに以下のことを明らかにした。 すでに報告した家系(Hum.Mol.Genet.3:2061-2062.1994)を含め2家系にSOD1遺伝子の突然変異を同定した。上記報告家系の突然変異は第5エクソンの2塩基の欠失によりフレームシフトを伴うものである。赤血球SOD1活性について検討したとこころ正常が1827.1±281.5(SD)U/mg prot.に対して、本家系患者では338.7U/mg prot.(対照の18.4%)と著明な低下を確認した。第2の家系の突然変異はミスセンス変異で、第5エクソンの点突然変異で149番目のイソロイシン(Ile)がスレオニン(Thr)に置換される。このI149T変異はすでに欧米例にて1例のみ報告されているが、本邦では報告されていない。 本家系については新たな発症者が認められ、現在検索を進めている。 筋萎縮性性側索硬化症(ALS)の実験モデルのひとつと考えられるβ,β'-iminodipropionitrile(IDPN)慢性中毒ラットについて、SOD1の発現を組織学的に免疫組織化学およびインサイチュウハイブリダイゼーションについて検討し、免疫組織化学的に運動ニューロンの膨潤した軸索内でSOD1タンパクが増加していることを証明した。同時にこの増加は神経細胞体での転写の亢進によるものとは考えにくいことを確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nishiyama,K,et al.: "Increased Culzn superoxide dismutase-like immunoreactivity in the swollen axons of rats intoxicated chronically with β,β′iminodipropionitrile" Neuroscience Lettens. 194. 205-208 (1995)
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[Publications] 後藤 順: "遺伝性神経疾患と遺伝子異常" 内科. 75. 423-431 (1995)