1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞時のT細胞活性化機構における接着分子及びRAS遺伝子の役割に関する研究
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07670743
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 洋 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (50260394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 秀明 北海道大学, 医学部, 教授 (70161297)
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Keywords | 心筋梗塞 / T細胞 / レニン・アンジオテンシン系 / オステオポンチン / 接着分子 |
Research Abstract |
従来より我々は、心筋リモデリングにおける心臓組織レニン・アンジオテンシン系(C-RAS)の役割および遺伝子制御機構を検討し、C-RASが心筋梗塞心筋壊死巣、肥大心において亢進していることを確認した。この際C-RAS発現部位は心筋内膜側、血管及び血管周囲ことに内膜が主体であることが判明した。急性心筋梗塞は白血球増加を伴うことからも炎症としての側面を有する。炎症組織における共通する所見の一つはT細胞の集蔟的浸潤である。これはT細胞が循環血液中より大量に遊出した結果であると同時に、組織内でT細胞が活性化され増殖した結果でもある。我々は、T細胞においてもACE遺伝子が発現することを明らかにし、T細胞と血管内皮細胞の相互関係が免疫学的機序を巻き込んだ心筋リモデリングの中心的な場になる可能性を考えた。in vitroにおいて、C-RAS亢進の結果産生されるアンジオテンシンIIは、細胞の分化、増殖の初期段階に重要な細胞接着シグナルRGD(Ar g-Gly-Asp)配列を有するオステオポンチン(OPN)発現を制御することが知られる。そこで、OPNに注目し、in vivoにおける発現制御機構について検討した。その結果、心筋細胞間質の線維化部分に一致してOPNを認め、その遺伝子発現は心筋線維化初期から増加し、心筋線維化の増減に平行して変動することを確認した。OPNは線維化を直接制御する因子であり、OPN制御により線維化進展を抑制できる可能性が考えられた。一方、健常人の末梢血から分離したリンパ球からT細胞を無菌的に分離、調整後AGPC法を用いRNAを抽出。アンジオテンシン変換酵素(ACE) cDNA及び作成したオリゴプライマーを用いRT-PCR法により遺伝子発現を確認した。ACEが発現していることを確認したjurkat細胞を用いT細胞活性化の程度を観察しACEのT細胞活性化への関与を検討した。また、ACE遺伝子をトランスフェクションするためのアデノウイルスベクター系Adex 1CAACEを作成し、制限酵素Xhol切断パターンの確認、Southern Blotting、ACE活性測定によって構造・機能を確認した。今後、jurkat細胞、培養心筋細胞へのAdex 1CAACEを用いた過剰発現系を確立、co-cul tur eし、培養心筋細胞におけるapoptosisの誘導、あるいは、細胞障害の程度を確認する予定である。
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[Publications] Okada H.: "Alteration of Extracellular Matrix in dilated cardiomyopathic Hamster Heart." Moll Cell Biochem.156. 9-15 (1996)
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[Publications] Watano K.: "Neurofibromatosis Complicated with XXX Syndrome and Renovascular Hypertension" J Intern Med.239. 531-535 (1996)
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[Publications] Kawaguchi H.: "Renin-Angiotensin System in Failing Heart" J Moll. Cell Cardiol. 27. 201-209 (1996)
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[Publications] Ishanov A.: "Angiotensinogen Gene Polymorphism in Japanese Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy." Am Heart J. 133. 184-189 (1997)