1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロン標識化合物を用いた心筋イノシトールリン脂質代謝回転の臨床的評価法の開発
Project/Area Number |
07670747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加賀谷 豊 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90250779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロン・RIセンター, 教授 (80134063)
石出 信正 東北大学, 医学部, 助教授 (40124549)
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Keywords | ポジトロン標識化合物 / イノシトールリン脂質代謝回転 / ポジトロン断層装置 / ジアシルグリセロール |
Research Abstract |
心筋においてアンジオテンシンII、エンドセリン、α_1交感神経刺激、肥大の形成ならびに維持などにおいて情報伝達系として重要なイノシトールリン脂質(PI)代謝回転を評価しうるポジトロン標識薬剤を開発し、心肥大および心全患者においてこれを臨床的に評価することめざして基礎的な検討を行った。 アシル基の長さの異なる種々の^<18>F-ジアシルグリセロールを合成しラットの尾静脈から投与し、一定時間の後に心筋を摘出し、脂質を抽出した。その結果、1-[F^<18>]-fluorobutyryl-2-palmitoyl glycerolを投与した場合が、最もPI代謝回転の構成物質に放射活性が集った。すなわち、静注3分後で総投与放射活性の薬55%がPI代謝回転に集まることが分かった。しかし、静注3分後では、ポジトロン断層装置を用いた臨床応用には撮像時間が短すぎて不都合となる可能性があり、次に^<11>C標識のジアシルグリセロール([^<11>C]DAG)を用いた基礎的な検討を行った。この実験においては、心筋梗塞を作成したラットを用いた。この結果、[^<11>C]DAGは、梗塞部、非梗塞部ともにPI代謝回転の構成成分へ代謝された割合が静注後30分で50%以上であった。さらに[^<11>C]DAGを用いたin-vivoオートラジオグラフィを行ったところ梗寒部においてオートラジオグラムの濃度が残存心筋よりも高度である傾向がみられた。同じモデルを用いて^<201>TIにより血流を調べたところ梗寒部の血流は、30%以下に低下しており[^<11>C]DAGの分布は血流によらないことが分かった。さらに、組織学的に[^<11>C]DAGの集積部位はコラーゲン線維が増加している部位に一致しており、線維芽細胞様の細胞が豊富に存在していた。以上から[^<11>C]DAGが心筋梗塞後の治療過程におけるPI代謝回転の変化を生体において画像化できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nobuyuki Shiba et. al: "Heterogeneity of myocardia fluoro-18 2 deoxyglucose uptake in patients with apical hypertrophic cardiomyopathy" Japanese Circulation Journal. (in press).
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[Publications] Yuriko Yamane et. al: "Stimulated glucase uptake in the ischemic border zone: Its dependence on glucose uptake in the normally perfused area" Journal of Nuclear Medicine. (in press).