1996 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いた心筋小胞体カルセクエストリンの生理機能の解析
Project/Area Number |
07670754
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
新井 昌史 群馬大学, 医学部, 助手 (60270857)
|
Keywords | カルセクエストリン / 心臓肥大 / 心筋小胞体 / ナトリウム水素交換担体 |
Research Abstract |
ナトリウム/水素交換担体(Sodium/Proton Antiporter)は細胞内pHの維持を担う細胞膜蛋白であるが、細胞増殖作用を持ち、実験的肥大心筋では、そのmRNA発現量が増加しているとの報告がある。この遺伝子のトランスジェニックマウス(Na/H過剰発現マウス)に塩分負荷を行い、心臓肥大を作製し、肥大心形成に伴う心筋小胞体のカルシウム貯蔵能の変動について検討し、カルセクエストリンの生理機能を検討した。 8週令の雌Na/H過剰発現マウスに8%の塩化ナトリウム負荷食を8週間経口摂取させ、肥大心を作製した。対照は同週令のNa/H過剰発現マウスに0.3%の塩化ナトリウムを負荷したもの、および、野生型マウスに8%ならびに0.3%塩化ナトリウム食を負荷したものを用いた。マウスは体重、血圧、心拍数、心電図変化を計測の後、屠殺し、心筋重量、心室壁厚を測定した。摘出心筋をホモジェナイズし、粗心筋小胞体分画をレムリ-法により電気泳動した。これをニトロセルロース膜にブロッティングした後、カルシウムオーバーレイ法により^<45>CaCl2と反応させ、カルセクエストリンによるカルシウム貯蔵量をオートラジオグラム上で半定量した。また、心筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseによるCa^<2+>汲み上げ能も測定した。 Na/H過剰発現マウスに8%の塩化ナトリウム負荷を加えた群では、ほかの3種に比し有意に、血圧の上昇(収縮期圧123mmHg)、脈拍数の減少(568bpm)、両心室重量/体重比の増加(4.04mg/g),心室中隔厚の増加(1.21mm)、左室自由壁厚の増加(1.08mm)を認め、肥大心が形成されたことが確認された。この心筋では、カルシウム汲み上げ能の有意な減少(21.0nmol Ca/mg protein min)はあるものの、心筋小胞体カルシウム貯蔵量には変動がみられなかった(野生型低塩群の92【plus-minus】13% 以上より、肥大心筋では心筋小胞体へのカルシウム汲み上げ速度は減少しているものの、心筋小胞体でのカルシウム貯蔵能、保持能には変化が見られないことが判明した。
|