1995 Fiscal Year Annual Research Report
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07670810
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
太田 眞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60176899)
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Keywords | 長期透析療法 / 透析心 / 拡張型心筋症類似 / 肥大型心筋症類似 / 心臓カテーテル検査 / 心内膜心筋生検 |
Research Abstract |
【目的】 透析患者の心血管系合併症は最も生命予後に関連する因子の一つである。慢性透析患者にて拡張型心筋症類似例〔D型〕,肥大型心筋症類似例〔H型〕など特発性心筋症と鑑別困難な病態が出現してくる(「透析心」と命名する)。透析によって引き起こされたと思われる心筋疾患が実際存在するか否か?従来の尿毒性心筋症の多くはD型に含まれ,長期透析療法の妨げとなる本病態の存在自体に注目した。 【対象・方法】 D型透析心とは至適透析によっても心陰影の拡大が持続あるいは進行し,虚血性心疾患は否定的であり,高度な心弁膜症は無く,またH型透析心としては心室壁厚の増大が14mm以上で心内腔の拡大なく,以下の項目は本病態の関与に否定的であることとした。〔/)心膜心筋炎2)心のう液貯留3)慢性圧負荷4)慢性容量負荷5)重篤な貧血6)電解質異常〕。またアミロイド,ファブリー病などは除外した。透析導入期に心エコー図にて基礎心疾患を認めない慢性透析患者170例に対して心エコー図にて観察中,前述の該当基準を満した例に対して心臓カテーテル検査,冠動脈検査,一部左室心内膜心筋生検を施行し,その予後調査を行った。 【結果】(1)D型は5.9%(10/170),H型は6.5%(11/17)の出現頻度であった。(2)全例冠動脈造影上有意狭窄(AHA分類25%以上)は無いものの高度の全周性の石灰化所見がD型の4例に認め,冠動脈内エコーでも確認した。(2)心筋の肥大,変性,線維化の程度はD型・H型ともに著明で一部に錯綜配列を認めた。(3)D型のうち5例が診断後平均2.6年後に死亡(3例心不全、1例不整脈),1例で腎臓移植後心機能が改善。H型の2例が診断後平均3.4年で心不全死した(透析期間はD型5.5年,H型8.9年)。1例がH型からD型へ移行した。 【結論】慢性透析患者の中には予後不良な心筋症様病態が存在した。
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