1996 Fiscal Year Annual Research Report
再灌流不整脈の発生機序:細胞内pH,Na^+,Ca^<2+>動態異常との関連
Project/Area Number |
07670814
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
雪吹 周生 日本医科大学, 医学部, 助手 (80193639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (00238734)
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Keywords | 再灌流不整脈 / 細胞内pH / Na^+ / H^+交換系 / Na^+ / Ca^<2+>交換系 |
Research Abstract |
再灌流性不整脈の発現に細胞膜Na^+/H^+およびNa^+/Ca^<2+>交換系が関与することが指摘されている。すなわち虚血中に細胞内に蓄積したH^+が再灌流時のNa^+、Ca^<2+>流入を惹起し、この結果細胞内Ca^<2+>過負荷が生ずると考えられている。我々はこれまでラット摘出灌流心モデルを用い、酸性再灌流、すなわち細胞外液pHの正常化遅延が再灌流性不整脈を抑制することを証明してきた。本研究ではさらに、細胞内Na^+濃度調節機能の重要性を検証する目的で、心筋のNa^+/K^+-ATPase活性を測定した。酸性再灌流はその持続時間の長短によらず再灌流性心室細動(VF)の発現を抑制する。ここで2分以内に灌流液pHを7.4に正常化すると、この時点で高率にVFが出現するが、2分以上酸性再灌流を持続したのちにpHを正常化させても新たな不整脈は惹起されなかった。一方、左室自由壁のNa^+/K^+-ATPase活性を細胞化学的に測定すると、虚血中は同活性は著しく低下するが、再灌流後は再び活性は上昇し、2分以上経過したのちに虚血終了時に比し有意な回復を示した。これは再灌流の結果Na^+/H^+交換系を介してNa^+が流入しても、Na^+排出系(Na^+/K^+pump)の回復の程度により再灌流性不整脈増悪因子になるか否か決定されることを示している。すなわち再灌流早期(上記モデルでは2分以内)に灌流液pH正常化によりNa^+流入が生じると、これはNa^+/K^+pumpにより細胞外へ排出されぬため、Na^+/Ca^<2+>交換系を介してCa^<2+>流入をもたらす。しかし再灌流から一定時間が経過して細胞内Na^+濃度調節機能が回復したのちであれば、流入せるNa^+必ずしもNa^+/Ca^<2+>交換系を活性化せず、再灌流性不整脈は発現しないと考えられる。
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Research Products
(1 results)