1997 Fiscal Year Annual Research Report
再潅流不整脈の発生機序:細胞内PH,Na^+,Ca^<2+>動態異常との関連
Project/Area Number |
07670814
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Research Institution | The First Department of Internal Medicine, Nippon Medical School |
Principal Investigator |
雪吹 周生 日本医科大学, 医学部, 助手 (80193639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草間 芳樹 日本医科大学, 医学部, 助手 (40169983)
星野 公彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (00238734)
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Keywords | ischemia / reperfusion / preconditioning / angiotencin / arrhythmia / contractile dycfunction |
Research Abstract |
我々はこれまでラット摘出潅流心モデルを用い、再潅流性不整脈の発現が細胞内Ca^<2+>過負荷にて惹起されること、これをもたらす機序として細胞膜Na^+/H^+、Na^+/Ca^<2+>交換系およびNa^+/K^+-ATPase等のイオン交換系が関与することを観察してきた。一般に細胞内Ca^<2+>過負荷は様々な再潅流性心筋障害に共通した増悪因子であり、アデノシン、カテコールアミン、アンギオテンシン、C蛋白キナーゼなど細胞内外の情報伝達系が関与している。今年度、本研究ではこの細胞内Ca^<2+>過負荷が主病態を演ずる虚血性プレコンディショニング(IP)に注目し、これが虚血後の心筋収縮障害を軽減する機序としてアンギオテンシン(AT)が関与するか否かを検討した。実験モデルとしては従来と同様のラット摘出潅流心を用い、一定の冠潅流量のもと左室圧をモニターしつつ25分虚血、引き続き30分の再潅流を行った。IP群では25分虚血に先立ち5分間の虚血・再潅流を2回施行、AT群では5分間虚血に代わり0(対照群)、0.01、0.1、1、10μMのATで心筋を潅流した。全例350bpmで心房ペーシングした。ATによる潅流は左室発生圧を平均10から17%、冠潅流圧を平均23から43%上昇させた。再潅流30分後の左室発生圧回復率(虚血前との対比)は対照群、IP群、0.01、0.1、1、10μMのAT群で各々18.6、53.0(^★;p<0.05vs対照群)、71.5(^★)、48.9(^★)、59.2(^★)、42.5%、また左室拡張終期圧は各々61.2、30.0(^★)、31.3(^★)、38.7(^★)、34.0(^★)、45.8mmHgであった。すなわちATはIPに匹敵する心保護作用を有するが、その作用は用量依存的でなく、用いた濃度範囲では‘全か無か'の関係を示した。これはATのプレコンディショニング作用にさらに他の要素が介在することを示唆しており、これは今後の研究課題となる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ibuki C.et al: "Preconditioning with angiotensin-II improves…" J Mol Cell Cardiol. 29・7. A307 (1997)
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[Publications] Ibuki C.et al: "Protective effects of angiotensin II precon…" Jpn Circulation J. (in press).