1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋症における左室拡張障害の成因:透過電顕および走査電顕による免疫分子化学
Project/Area Number |
07670819
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
林 哲也 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30257852)
|
Keywords | 心筋症 / 拡張障害 / 間質コラーゲン / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / マトリックスメタロプロテアーゼ / リモデリング / ザイモグラフィー |
Research Abstract |
心筋症における左室拡張障害は心筋症の病態整理の本質に関わる重要な問題であるがその原因は未だ明らかでない。本研究は、心筋症における左室拡張障害の成因を明らかにするために心筋症患者の生検心筋および剖検心筋において心筋細胞外マトリックスにつき光顕・電顕的免疫組織化学を行うものである。昨年度の研究により、拘束型心筋症では心筋間質におけるIII型コラーゲンの増殖が顕著であり、またマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が間質マトリックスおよび心筋細胞のリモデリングに関与する事が示唆された。 平成8年度の研究の結果、肥大型心筋症においても間質におけるIII型コラーゲンの増殖が顕著であり、さらに剖検心筋における走査型電子顕微鏡による検索にて、拘束型心筋症と肥大型心筋症においては、間質における共通したコラーゲン線維の立体構築異常が見られ、両疾患の間質病変における類似性が免疫組織化学ならびに走査電顕的に明らかとなった。一方、拡張型心筋症においてはI型コラーゲンの増殖が認められ、replacement fibrosisであると考えられた。また、拡張型心筋症においてはIV型コラーゲンも有意に増加し、一部の心筋細胞内にも局在することが免疫電顕にて確認された。zymographyにて測定したMMP-2活性は拡張型心筋症において明らかに増加しており、拡張型心筋症における心筋リモデリングではIV型コラーゲンの産生と分解が亢進していることが明らかとなった。 以上の検索結果により、心筋症における拡張障害には間質コラーゲン線維との増殖、構成成分の変化とそれに伴う産生と分解の亢進、立体構築異常などが成因として考えられ、心筋症における今後の治療に重要な情報を提供するものと思われる。
|
-
[Publications] Tetsuya Hayashi: "Ultrastructur al and lmmunohistochemical Study of Collagen Types and Matrix Metalloproteinase in Patients with ldiopathic Restrictive Cardiomyopathy" Japanese Circulation Journal. 60. 510- (1996)
-
[Publications] 寺崎文生: "拘束型心筋症における心筋の光顕、電顕、免疫組織学的検討" 循環器科. 39. 396-397 (1996)
-
[Publications] Manatsu Satoh: "Molecular Genetics of Familial Restrictive Cardio omyopathy" Journal of Molecular and Cellular Cardiology. 28. A332 (1996)
-
[Publications] Makoto Okabe: "Intercellular connections between laterally appoesed cardiocytes are reduced in number by remodeling of cell junctions in aged spontaneously hypertensive rats : Scanning and transmission electron microscopic study" Japanese Circulation Journal. 60. 435 (1996)
-
[Publications] Makoto Okabe: "Effect of angiotensin II type 1 receptor antagonist,E4177,on myocardial fibrosis in spontaneously hyper tensive rats : Scanning electron microscopic study" Japanese Circulation Journal. 60. 482-283 (1996)
-
[Publications] Tetsuya Hayashi: "Remodelling of Collagen and Matrix Metalloproteinase Activity in Cardiomy opathies" Journal of Molecular and Cellular Cardiology. (発表予定).