1996 Fiscal Year Annual Research Report
老化促進マウスの心臓刺激伝導系におけるアポトーシスに関する研究
Project/Area Number |
07670820
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20236988)
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Keywords | 老化促進モデルマウス / 心臓刺激伝導系 / アポトーシス / 微細構造 |
Research Abstract |
【方法】老化促進モデルマウス(SAM)の老化促進系(P1)と正常老化系(R1)を用い、若年群(両系とも8週齡)、寿命末期の老齢群(P1:44週齡、R1:90週齡)を用いた。実体顕微鏡下に房室接合部を切り出し、房室伝導系を通常の光顕、電顕および光頭、電顕的TUNEL法により観察した。 【結果】両系とも老齢群において、特殊心筋細胞の変性脱落像が個々に散在性にみられた。電顕的には、細胞膜や細胞内辺縁の小器官は比較的保たれているが、核クロマチンの辺在凝集、核周囲の筋原線維や中間径フィラメントの融解、細胞質の空胞化、ミトコンドリアの崩壊・萎縮など、核周辺の細胞内小器官の傷害を伴う特異的な変性像が観察された。また、residual bodiesを伴う変性心筋細胞も散見された。これらの病変部位では、リンパ球などの炎症性細胞浸潤はなく、とくにマクロファージによる変性心筋細胞の貧食が認められた。さらに、光顕、電顕的TUNEL法では、一部の特殊心筋細胞の核にTUNEL陽性所見がみられ、心筋細胞核におけるDNA断片化の存在が考えられた。 【考案】SAMの房室伝導系において、伝導系特殊心筋細胞の変性脱落が微細構造学的に核の変性を含む特異な形態をとり炎症性細胞浸潤を伴わないこと、一部の心筋細胞核にTUNEL陽性所見を認めることが観察された。これらの事実から、SAMにおける刺激伝導系特殊心筋の細胞死にはアポトーシスあるいは老化に特異的な細胞死のメカニズムの関与が示唆される。また、病態生理学的にこれらの微細構造病変は、加齡にともなう刺激伝導障害の原因となる可能性がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 下村裕章: "老化促進モデルマウス(SAM)の心臓刺激伝導系における微細構造病変" 心筋の構造と代謝. 18. 189-193 (1996)
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[Publications] Hiroaki Shimomura: "Ultrastructural Remodelling in the Heart with Special Reference to Myocardial Cell Death in the Senescence Accelerated mouse (SAM)" Japanese Circulation Journal. 60. 436-437 (1996)