1996 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体内在細胞の遺伝子発現制御における転写因子NFkBの役割について
Project/Area Number |
07670834
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柿崎 良樹 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (40160973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和賀 忍 弘前大学, 医学部, 助教授 (10167744)
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Keywords | 糸球体内皮細胞 / NFkB / AP-1 / MCP-1遺伝子 |
Research Abstract |
培養糸球体内皮細胞において転写因子NF-κBの活性化と単球遊走蛋白であるMCP-1遺伝子発現の関連について検討し以下の結果を得た。1NF-κBの活性化は,TNF-α刺激15分後から,またフォルボールエステル刺激60分後から認めた。TNF-αによる活性化は,PKC阻害剤およびPTK阻害剤genisteinでは抑制されず,別のPTK阻害剤であるherbimycin Aにより抑制された。フォルボールエステルによる活性化は,PKC阻害剤により抑制されたがgenisteinでは抑制されなかった。また,TNF-αによる活性化は抗酸化剤PDTCおよびc-jun/AP-1阻害剤curcuminによっても抑制されたが,一酸化窒素の放出剤および合成酵素阻害剤は効果を認めなかった。2一方,転写因子AP-1もまたTNF-α,フォルボールエステルにより活性化された。TNF-αによる活性化はPKC阻害剤およびgenisteinにより抑制され,フォルボールエステルによる活性化はPKC阻害剤により抑制されたがgenisteinでは抑制されなかった。3MCP-1mRNAの発現は,TNF-α刺激60分後から,またフォルボールエステル刺激120分後から認めた。TNF-αによる発現増強は,PKC阻害剤では抑制されなかったがgenisteinにより著明に抑制された。フォルボールエステルによる活性化は,PKC阻害剤により抑制されたがgenisteinでは抑制されなかった。また,PDTCおよびcurcuminはTNF-αによる発現増強を著明に抑制したが,一酸化窒素の放出剤および合成酵素阻害剤は効果を認めなかった。 NF-κB活性化とMCP-1遺伝子発現に関与する蛋白キナーゼの検討においては,それぞれの阻害剤に対する反応パターンが異なることからNF-κBのみがMCP-1遺伝子発現を調節しているわけではないことが示された。また,PDTCおよびcurcuminを用いた結果と併せて考えると,NF-κBとAP-1の両者がMCP-1遺伝子発現の調節に関与し,さらにNF-κB活性化においてAP-1が関与している可能性が示唆された。
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