1995 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳児期における好塩基球表面IgEならびにCD38抗原発現とその機能的意義
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07670847
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学部, 講師 (40210281)
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Keywords | 好塩基球 / IgE / F_<cε>RI / アレルギー / 乳児 |
Research Abstract |
今年度は主としてフローサイトメトリー法を駆使して、末梢血好塩基球表面に結合するIgEを測定した。新生児臍帯血ならびに種々の年令小児の末梢全血を洗浄後、FITC標識抗ヒトIgE抗体ならびにPE標識抗CD3および抗CD20抗体で二重染色を施行した。単核球領域の細胞を選択、PE蛍光陰性のFITC強陽性細胞群についてそのFITC蛍光強度を測定した。各検体より得られた血漿は、ELISA法による血清IgEの定量に用いた。正常対照小児ならびにアレルギー疾患を有する小児について、これらのパラメーターを比較検討し、さらに喘鳴をくりかえす乳児例でも好塩基球結合IgEを測定、その臨床的意義を検討した。ELISA法による血清IgE測定は極めて高感度であり、従来のラテックス法では検出感度以下となることの多い、乳幼児例においてもIgE濃度を測定することが可能であった。正常対照群では加齢に伴いゆるやかに血清IgE値は上昇した。アレルギー群においては乳幼児期においては低値を示したが、加齢と共に急速に上昇した。一方、好塩基球結合IgEはアレルギー群ではすでに乳幼児期において極めて高値を示し、加齢による変化は少なかった。正常対照群においては乳幼児期には低値を示したが、加齢と共に次第に増加し、成人ではかなりの高値を示した。好塩基球結合IgEは血清IgEレベルに相関して増加したが、IgEが一定濃度を越えるとほぼ一定の高値を示した。さらに、喘鳴を繰り返す乳児でアレルギーの関与が不明の症例について検討すると、その一部で著明な好塩基球結合IgEの高値を認めた。これらのことより、末梢血好塩基球IgEの測定がアレルギー感作の評価の上で有用な指標となることが示唆された。次年度は、同様の手法を用いて、末梢血好塩基球表面のF_<eε>RIの発現を検討する。さらに、IgEによる好塩基球表面高親和性IgE受容体の発現誘導機構について解析する。
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[Publications] H. Seki et al: "Differential Protective Action of Cytolcines on Radiation-Induced Apoptosis of Peripheral Lymphcyte Subpopulations" Cellular Immunology. 163. 30-36 (1995)
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[Publications] A. Yachie et al: "Delineation of Producing abiliby of IgG and IgA subclasses by naive B cells in newborn infants and adult individuals" Clin. Exp. Immunol.102. 204-209 (1995)