1995 Fiscal Year Annual Research Report
ケトーシスを主徴とする先天性疾患の早期診断に関する研究
Project/Area Number |
07670865
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正彦 島根医科大学, 医学部, 助手 (00263533)
深尾 敏幸 岐阜大学, 医学部, 助手 (70260578)
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Keywords | 有機酸代謝異常症 / ケトン体 / GC / MS / 酵素診断 / 培養リンパ球 |
Research Abstract |
ケトーシスをきたす小児疾患の早期診断のために、今年度(初年度)、以下の研究を行った. [1]質量分析法による生化学診断法の確立:キャピラリーGC/MSによる尿中分析法を確立し、自動解析するコンピューターソフトを開発した.尿中に排泄されうる有機酸130種類を自動的にサーチして、ケトーシスをきたすことの多い有機酸代謝異常を迅速に診断するコンピュータープログラムである.すでに診断名のわかっている約30例の患者尿を用いて解析させ、このコンピューターソフトの精度を確認した. [2]細胞分画法によるケトン体代謝関連酵素の活性測定法の確立:先天性ケトン体代謝異常症として知られている3つの疾患すなわち、βケトチオラーゼ(T2)欠損症と細胞質型チオラーゼ(CT)欠損症およびサクシニル-CoA : -CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症の酵素活性測定による診断法を確立した.T2とSCOTはミトコンドリアに局在し、CTは細胞質に局在している.そこでリンパ球をジギトニンを用いて細胞分画して、3つの酵素を分別測定するシステムを確立した.これにより、従来測定困難正であったCT欠損症の診断が容易になった.原因不明のケトーシス患者の正確な診断に寄与するものと思われる. [3]リンパ球培養系の確立:臨床に場で、簡便にケトーシス患者の鑑別診断を可能にするため、尿を用いた有機酸分析の他に、酵素活性を末梢リンパ球を用いて行う方法を確立した.すなわちEBトランスフォームリンパ球とIL-2刺激リンパ球の培養系を確立し、上述した細胞分画法による正確な分別活性測定法を確立した. [考察]2年間のプロジェクトの1年目の目標を達成できたと評価できる.この成果を踏まえ、2年目は実際のスクリーニングを進めてゆき、この簡便な診断手法を実用化させる研究を行いたい.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Wakazono A: "Molecular,biochemical,and clinical characterization of mitochondrial acetoacetyl-coenzyme A thiolase deficiency in two further patients" Human Mutation. 5. 34-32 (1995)
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[Publications] Fukao T: "Mitochondrial acetoacetyl-coenzyme A thiolase gene : a novel 68-bp deletion involving 3′splice site of intron 7, causing exon 8 skipping in a Caucasian patient with β-ketotiolase deficiency" Human Mutation. 5. 94-96 (1995)
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[Publications] Fukao T: "Molecular basis of β-ketothiolase deficiency : mutations and polymorphysms in the human mitochondrial acetoacetyl-coenzyme A thiolase gene" Human Mutation. 5. 113-120 (1995)
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[Publications] Watanabe H: "Identification of the D-enantiomer of 2-hydroxyglutaric aciduria type II" Clin Chim Acta. 238. 115-124 (1995)
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[Publications] 山口清次: "GC/MSによる有機酸代謝異常の診断.プロピオン酸血症とマルチプルカルボキシラーゼ欠損症の鑑別診断" 臨床検査. 39. 469-472 (1995)
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[Publications] 山口清次: "グルタル酸尿症2型、肝・胆道症候群" 日本臨床別冊. 325-328 (1995)
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[Publications] 山口清次(古庄敏行編): "臨床DNA診断法 -β-ケトチオラーゼ欠損症-" 金原出版, 1134 (1995)
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[Publications] 山口清次(井村裕夫編): "最新内科学体系第8巻-II型グルタル酸血症-" 中山書店, 422 (1995)