1996 Fiscal Year Annual Research Report
ケトーシスを主徴とする先天性疾患の早期診断に関する研究
Project/Area Number |
07670865
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山口 清次 島根医科大学, 医学部, 教授 (60144044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正彦 島根医科大学, 医学部, 助手 (00263533)
深尾 敏幸 岐阜大学, 医学部, 助手 (70260578)
|
Keywords | ケトーシス / 有機酸代謝異常 / ケトン体代謝異常症 / GC / MS / 酵素診断 / 培養リンパ球 |
Research Abstract |
今年度は本研究費の2年間の2年目に当たる.今年度は以下の研究を行った. 1)ケトーシスをきたす疾患の新生児マススクリーニングのための基礎的研究:ケトーシス発作を主徴とする代表的疾患である有機酸代謝異常症を早期に診断するために、GC/MSによる有機酸分析データを自動的に処理し、そのプロフィールから診断名を示すシステムを確立した. 2)ケトーシスを主徴とする新しい先天代謝異常症の同定:有機酸分析システムを確立し、本年度全国の医療機関から約400症例の分析依頼を受けた.この中に、ケトーシス発作のみを主徴とする兄弟例があった.兄は4才時ライ症候群で死亡が、これまでケトーシス以外の所見は指摘されていなかった.われわれはこの症例にはケトン体である3-ヒドロキシ酪酸の他に、3-ヒドロキシイソ酪酸が増加していることを見い出し、3-ヒドロキシ酪酸尿症と診断した.そして本患児の臨床経過と代謝プロフィールの変化を検討した.3-ヒドロキシイソ酪酸尿症は通常のケトーシス発作と区別がつきにくく、わが国では初めての症例であり新しいタイプのケトン体代謝異常症として今後注目べきであることを明らかにした. 3)メチルアセトアセチル-CoAを基質としたβ-ケトチオラーゼ欠損症の診断法の検討:β-ケトチオラーゼ欠損症の酵素診断としてイソロイシンの中間代謝体であるメチルアセトアセチル-CoAを用いる方法を検討した.この基質は市販されていないので、スペインの研究機関から入手したが、本化合物が不安定であり、感度が悪くこの基質による診断は実用的でないと結論づけた. 4)ケトン体代謝酵素の細胞内分布に関する研究:ケトン体代謝に関連する3つの酵素、すなわちミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ、細胞質型アセトアセチル-CoAチオラーゼ、サクシニル-CoA:3-ケト酸Coトランスフェラーゼの臓器分布を明らかにした.
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Shigematsu Y: "Prenatal diagnosis of organic acidemias based on amniotic fluid levels of acylcarnitnies." Pediatr Res. 39. 680-684 (1996)
-
[Publications] Itoh T: "Effect of carnitine administration on glycine metabolism in patients with isovaleric acidemia:significance of acetylcarnitine determination to estimate the proper carnitine dose." Tohoku Exp Med. 179. 101-109 (1996)
-
[Publications] Fukao T: "Immunotitration analysis of cytosolic acetoacetyl-coenzyme A thiolase activity in human fibroblasts." Pediatr Res. 39. 1055-1058 (1996)
-
[Publications] Masuno M: "Assignment of the human cytosolic acetoacetyl-coenzyme A thiolase(ACT2)gene to chromosome 6q25.3-q26." Genomics. 36. 217-218 (1996)
-
[Publications] 山口清次: "乳児期に発症する有機酸代謝異常症の早期発見と対応" 小児科. 37. 101-112 (1996)
-
[Publications] 木村正彦: "GC/MSによる3-ヒドロキシイソ酪酸尿症の同定." 日本医用マススペクトル学会講演集. 21. 125-128 (1996)
-
[Publications] 山口清次(井村裕夫編): "最新内科学体系第8巻 -II型グルタル酸血症-" 中山書店、東京, 354-356 (1996)
-
[Publications] 山口清次(井村裕夫編): "最新内科学体系第8巻 -β-ケトチオラーゼ欠損症-" 中山書店、東京, 138-142 (1996)