1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670877
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩谷 典学 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (90128257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 美穂子 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (00178287)
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Keywords | 成長障害 / 成長ホルモン / 成長ホルモン遺伝子 / 成長ホルモン受容体遺伝子 / GHRH受容体遺伝子 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
成長ホルモン(GH)の発現、作用機構を遺伝子レベルで解析するために、遺伝性GH欠損症とGH受容体異常症の例について遺伝子解析を行った。 GH-1遺伝子については、遺伝性家族性GH欠損症例およびGH分泌不全症を含めた低身長症例16名を対象に、プロモーター領域を含めた構造遺伝子の解析を行った。遺伝性症例には異常を認めなかったが、このうち1名にエクソン1の第67番目の塩基のA→G置換を認めた。これは正常人にも認められ、RFLPと考えられる変異であり、GH-1発現の家系検索に有用と思われた。 GH受容体遺伝子の分析については、GH受容体異常症(ラ-ロン症候群)と診断した症例について解析を行った。患者抹消血よりゲノムDNAを抽出し、GH受容体遺伝子の各エクソンのsplice siteを含む部分をPCR法にて増幅し、塩基配列を分析した。その結果第4イントロンの第1塩基のGがAに置換していた。また制限酵素BanIにより、本来切断させるべきrestriction siteが、本症例では消失しており、塩基置換が生じていることを確認した。遺伝子異常が明かとなったGH受容体異常症は本邦では本症例が初例である。また本症例と同一のsplice mutationはヨーロッパの症例において、2例報告されている。従って本症例でみる限り、GH受容体遺伝子の異常はこれまで報告されたものに含まれ、人種特異的なものではないといえる。 これまでの研究で得られた以上のような結果は、GHの発現、作用機構を知るうえで貴重な知見をもたらすものであり、GHを軸とした成長障害の成因を理解するうえでも重要な成果である(結果については投稿中)。これらの成果を基に現在分析中のGHRH(GH releasing hormone)受容体についても今後さらに解析を進め、成長障害の病態解析、治療の可能性など追求していく予定である。
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