1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670897
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine |
Principal Investigator |
山城 雄一郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10053159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小口 学 順天堂大学, 医学部, 助手 (30214092)
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 講師 (30260889)
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Keywords | 即時型アレルギー / 遅延型アレルギー / 潰瘍性大腸炎 / n-6系脂肪酸 / n-3系脂肪酸 / 低脂肪 / ロイコトリエンB4 / ロイコトリエンC4 |
Research Abstract |
昨年までに検討を進めた遅延型アレルギーマウスモデルに加え、今年度は、これまで確立されていなかった即時型アレルギーマウスモデルおよび潰瘍性大腸炎のラットモデルを作成し、それぞれの消化管粘膜における病態を検討した。さらに、n-6系脂肪酸を多く含むコーン油とn-3系脂肪酸を多く含むエゴマ油を原料とした飼料および低脂肪飼料でそれぞれのモデルを飼育し、食品中の脂肪酸組成がそれぞれの粘膜障害に与える影響について消化管免疫の観点から検討した。 即時型アレルギーマウスモデルを用いた検討:抗原となるTNPに特異的なIgEを産生するハイブリドーマをマウスに移植し、TNP-IgEが高値になった即時型のアレルギーマウスモデルを作成した。このマウスに抗原を摂取させると、血圧の低下、下痢、呼吸障害などのアナフィラキシ-ショックが誘導されることが確認された。このマウスでは、血中ヒスタミン・ロイコトリエンC4値の増加、ICAM-1、VCAM-1の発現の増加、および粘膜内に抗原-IgE複合体と結合したマスト細胞が浸潤していることが確認され、抗原に特異的なIgEが高値な状態では、経口的に抗原を摂取することでアナフィラキシ-ショックが誘導されること、および、以上の変化にマスト細胞が重要な役割を果たしていることが確認された。このマウスモデルに各種飼料を与え飼育したところ、エゴマ油を原料とした飼料および低脂肪飼料を与えることで以上の変化が抑えられる傾向のあることが認められた。 潰瘍性大腸炎(UC)モデルラットを用いた検討:Dextran-sulfate sodiumを内服させることでUCモデルラットを作成した。これにより、ラットに下痢、血便および陰窩膿瘍の形成などが確認された。本モデルに各種脂肪酸を原料とした飼料を摂取させたところ、エゴマ油を原料とした飼料を与えることでロイコトリエンの過剰産生や粘膜血流の低下などが抑制されることが認められた。さらに、この際、フリーラジカル・スカベンジャーであるビタミンEを同時に摂取させることでより優れた効果が得られることが確認された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 大塚宜一: "マウス消化管における過敏反応の免疫病理学的検討 第2報" 日本小児科学会雑誌. 99. 771-776 (1995)
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[Publications] 大塚宜一,羅智 靖: "特集:食物アレルギー“即時型アレルギー効果相の実験モデル"" アレルギーの領域. 2. 605-609 (1995)
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[Publications] 大塚宜一,山城雄一郎: "粘膜免疫と食物アレルギー" 喘息. 8. 49-55 (1995)
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[Publications] Ohtsuka Y,Yamashiro Y: "Food antigen activate intraepithelial and lamina propria lymphocytes in food-sensitive enteropathy in mice" Pediatric Research. 39. 862-866 (1996)
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[Publications] Ohtsuka Y,Yamashiro Y: "Induction of anaphylactic shock in mice by orally administered antigen and its prevention with soluble high affinity receptor for IgE" J Allergy Clin Immunol. (in press). (1997)
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[Publications] 大塚宜一,羅智 靖: "特集:食物アレルギー;食物アレルギーの効果相モデル" アレルギー科. 3. 152-159 (1997)
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[Publications] 大塚宜一,山城雄一郎: "サイトカインとアレルギー" 茆原順一、宮坂信之編集、メデイカルレビユ-社, 255 (1996)
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[Publications] 大塚宜一,山城雄一郎: "食品アレルギー対策ハンドブック" 上野川修一、近藤直実編集、サイエンスフォーラム社, 491 (1996)