1996 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化脂質を含有するカイロミクロンと人工脂肪粒子のAtherogenecity
Project/Area Number |
07670898
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
加古 結子 昭和大学, 医学部, 助手 (50281704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常見 享久 昭和大学, 医学部, 助手 (10255755)
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Keywords | hydroperoxide / カイロミクロン / 人工脂肪粒子 |
Research Abstract |
新生児未熟児医療で使用される静注用脂肪乳剤はカイロミクロン(CM)と同様な代謝を受けるが、実際の脂肪乳剤にはCMとは異なり、中性脂肪のhydroperoxides(TG-OOH)が含まれている。酸化された脂肪乳剤がCMと同様な代謝をするかについては報告がない。そこで、TG-OOHを含有する脂肪乳剤の代謝について検討した。 【方法】1)酸化油:2時間光酸化を行った大豆油から、TG-mono-OOH部分のみを抽出し実験に供した。2)脂肪乳剤の作成:^3H cholesteryl oleate(CO)と^<14>C triolein(TO)で標識された中性脂肪、遊離型とエステル型コレステロール、リン脂質からなる脂肪乳剤を作成した。また、添加する酸化油の量により、非酸化、軽度、中等度、高度酸化の4種類の脂肪乳剤を作成した。3)作成した脂肪乳剤の組成:脂質を抽出後、TLCで分離し測定し、脂肪乳剤中のTG-OOHは、抽出後化学発光高速液体クロマトグラフィーで測定した。4)代謝実験:頚動静脈にカテーテルを留置したラットに標識した脂肪乳剤を投与し、臓器の取り込み率と血漿消失率(fractional clearance rate : FCR)を調べた。 【結果・考察】1)脂質組成:各群間の差は認められなかった。軽度、中等度、高度酸化群におけるTG-OOHTGモル比はそれぞれ0.027、0.051、0.24であった。2)脂肪粒子は血中に入るとアポ蛋白が付加され、リポ蛋白リパーゼ(LPL)によりTGは分解され、肝臓に取り込まれていく。よって、3H-COのFCRは肝臓の取り込みのみを、14C-TOのFCRはLPLによる代謝と肝臓の取り込みの両方を反映する。今回の実験でCOのFCR(分)は、軽度、中等度、高度酸化の順に0.118、0.094、0.061であり、中・高度群で非酸化群(0.134)に比して有意に低値であった。また、COの肝臓への取り込みも高度酸化群では56.3%と非酸化群(76.1%)に比して有意に低下した。以上より、強く酸化された粒子程、肝臓に取り込まれにくく、血中に停滞しやすいと考えられた。3)COの脾臓への取り込みは、高度酸化群で1.45%と非酸化群(0.94%)に比して有意に増加したことより、網内系の除去機構も働いていると推測された。
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