1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性銅代謝異常症のGenotypeとPhenotypeに関する研究,遺伝子解析と病態生理の関連
Project/Area Number |
07670913
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
青木 継稔 東邦大学, 医学部・第二小児科学教室, 教授 (50057585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 玲 東邦大学, 医学部・分子生物学研究室, 講師 (10151599)
山口 之利 東邦大学, 医学部・第二小児科学教室, 助手 (30277339)
風間 浩美 東邦大学, 医学部・第二小児科学教室, 助手 (90224386)
藤岡 芳実 東邦大学, 医学部・第二小児科学教室, 助手 (30256739)
清水 教一 東邦大学, 医学部・第二小児科学教室, 講師 (60256740)
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Keywords | 遺伝性銅代謝異常症 / Wilson病 / Menkes病 / P-type ATPase / Genotype / Phenotype |
Research Abstract |
先天性銅代謝異常症における,遺伝子型Genotypeと表現型Phenotypeおよび病態生理との関連について検討した. 1)ATP-7AとATP-7B Wilson病遺伝子が発現するATP-7BおよびMenkes病遺伝子が発現するATP-7Aの細胞内発現の局在性について検討した.いずれもGolgi小体中心であることが判明し,trans-Golgi network,post-Golgi vesicular compartmentへの局在が証明された.これらの両蛋白の銅運搬体としての役割には差異がないことが推定された. 2)Wilson病とMenkes病の病態生理とそれぞれの遺伝子異常との関連 Wilson病遺伝子とMenkes病遺伝子の臓器における発現には差があると報告されている.Wilson病遺伝子の発現は肝に強いが,Menkes病遺伝子の発現は肝には証明されず,十二指腸・胃・小腸上部・腎に強く認められる.したがって,Wilson病においては,Menkes病遺伝子は正常であり,銅の腸管における吸収は正常に行われるが,Wilson病遺伝子の異常により発現蛋白異常を生じるために,肝における胆汁中への銅排泄障害とアポセルロプラスミンへの銅授受に障害をきたし,結果的に肝に銅が蓄積すると考えられる.一方,Menkes病においては,Menkes病遺伝子の異常により発現蛋白異常があり,腸管における銅吸収障害.腎尿細管における銅能動輸送障害等を生じ生体内銅欠乏状態を呈することになると考えられる.
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[Publications] 永山友子: "Henoch-Scholein purpurnの経過中に肝機能障害にて発現されたWilson病の5歳女児例" 小児科臨床. 50. 471-475 (1997)
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[Publications] 清水教一: "Wilson病の遺伝子解析に関する研究" Biomed Res Trace Elements. 7. 185-186 (1996)
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[Publications] 山口之利: "先天性銅代謝異常症におけるP-type ATPase relating copper transporterの細胞内局在に関する研究" Biomed Res Trace Elements. 7. 141-142 (1996)
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[Publications] 中園宏紀: "劇症型Wilson病における銅代謝に関する研究" Biomed Res Trace Elements. 7. 139-140 (1996)
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[Publications] 藤井秀樹: "Wilson病患者の血清セルログラスミンおよび血清銅に関する研究" Biomed Res Trace Elements. 7. 137-138 (1996)
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[Publications] 小林佳子: "日本人Wilson病患者における遺伝構造異常の解析" Biomed Res Trace Elements. 7. 61-66 (1996)
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[Publications] Yamaguchi Y: "Biochemical characterization and intracellular locarization of the Henlces disease protein" Proc Natl Acad Sci USA. 93. 14030-14035 (1996)
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[Publications] Shimizu N: "Analysis of relationship between total cernlopfasmin and helo-ceruloplasin in patients with Wilson' disease" International Pediatrics. 11. 106-108 (1996)
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[Publications] 清水教一: "全国調査からみた神経型・肝神経型Wilson病の臨床像および肝銅含量に関する検討" 脳と発達. 28. 391-397 (1996)
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[Publications] 青木継稔: "Menkes病からOccipital horn症候群の臨床病型と遺伝子型,phenotypeとgenotype" 小児科. 38. 247-258 (1997)
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[Publications] 青木継稔: "Wilson病とMenkes病の成因,銅輸送蛋白と臓器発現の相違" スポット小児科医. 23. 4 (1997)
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[Publications] 若井周治: "Occipital horn症候群" 小児内科. 28. 362-364 (1996)
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[Publications] 青木継稔: "生体内銅代謝からみた銅欠乏症とその治療法" 小児科. 37. 317-329 (1996)
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[Publications] 青木継稔: "銅代謝および先天性銅代謝異常に関する最近の進歩,Wilson病とMenkes病を中心として" 日本小児科学会雑誌. 100. 567-570 (1996)
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[Publications] 清水教一: "今日の小児治療指針,第11版" 医学書院, 183 (1997)
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[Publications] Shimizu N: "Neonatal and Perinatal Screening" The Chinese University of Hong Kong, 29-32 (1997)
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[Publications] Aoki T: "Neonatal and Perinatal Screening" The Chinese University of Hong Kong, 25-28 (1997)
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[Publications] 青木継稔: "Annual Review 神経 1997" 中外医学社, 288-294 (1997)
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[Publications] 青木継稔: "最新内科学大系10" 中山書店, 315-334 (1996)