1996 Fiscal Year Annual Research Report
先天性有機酸血症における新しい診断システムに関する研究
Project/Area Number |
07670922
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
吉田 一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (20182751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒牧 修一 久留米大学, 医学部, 講師 (30211014)
猪口 隆洋 久留米大学, 医学部, 講師 (00191891)
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Keywords | 診断自動化 / 先天性有機酸血症 / リバースサーチ法 |
Research Abstract |
前年度までにリバースサーチシステムがほぼ完成したので、このシステムを用いて国内外より依頼された先天性代謝異常症疑いのある患者尿を分析検討した。その結果プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、グルタル酸尿症II型、HHH症候群、OTC欠損症、マルチプルカルボキシラーゼ欠損症などを新たにスクリーニング診断するという大きな成果を挙げることができた。すなわちこれらの疾患のマーカー代謝産物の検出に本システムは有用であり、しかも人為的な操作を加えずに自動的にこれらのマーカー代謝産物を分析さらに同定することが証明された。この方法により人為的操作上のミスをなくすことができ、しかも時間の節約も可能となった。前述6疾患6名の患者は本システムによりスクリーニング診断された後、新生児メチルマロン酸血症患者の1名を除き、ただちにビオチン投与や食事療法をスタートし順調に経過している。シンガポール国立小児病院より分析依頼され、診断されたマルチプルカルボキシラーゼ欠損症は、その後東北大学病態代謝成澤邦明教授によりホロカルボキシラーゼ欠損症と診断され、遺伝子解析も進行中である。ビオチンの効果判定につきシンガポールより送付される尿を用いて共同研究中である。珪酸カラム液体分配クロマトグラフィーと本リバースサーチシステムを用いる有機酸血症の診断システムは、我々独自の方法で国内外にも類がなく優れた分析方法であり、先天性有機酸血症をふくむ代謝異常症の診断のみならず、病態解明などにも大きな威力を発揮するものと期待される。さらに今後分析検体数を増し、よりすぐれた正確な分析を施行できるよう努力したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ichiro Yoshida: "Furosemide versus thiazide in Gordon syndrome" European Journal of Pediatrics. 155. 621- (1996)
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[Publications] Hiroko Soda: "Renal handling of methylmalonic acid in'a uraemic patient with vitamin B_<12>-unresponsive methylmalonic acidaemia" Journal of Inherited Metabolic Diseases. 19. 90-91 (1996)
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[Publications] 吉田 一郎: "先天性代謝異常症「メチルマロン酸血症」" 小児内科-小児疾患診療のための病態生理-1-. 28. 277-280 (1996)
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[Publications] 吉田 一郎: "最新内科学大系 糖質・アミノ酸代謝異常-分枝有機酸代謝系-" 井村裕夫、尾形悦郎、高久史磨、垂井清一郎, 13 (1996)